ガレージテラスハウス
敷地は新しく開発された住宅地の中央を走る幹線道路に面しており、今後多くの人通りと交通量が予想される。クライアントは30代半ばの車好きのご夫婦で、家を建てるのは実は2軒目。無個性な1軒目を手離し「今度は個性的な家にしたいがコストは抑えたい」とのこと。そこで当初はコンパクトな平屋を計画したが将来的にカーポートを設置予定と聞き「その分もコストに加えカーポートを建築化しよう」と提案した。
愛車と暮らす家
建ち始めた周囲の家は駐車場兼前庭として前面道路から約5mセットバックし、カーポートが設置され、休日に前庭で人通りを気にしつつBBQをする姿が目に浮かぶ。それを「コミュニティ」というのも無責任なような気がするし「カーポートが街並みを作る」というのも疑問が残った。
居間の延長としてのガレージテラス
単なるカーポートやビルトイン駐車場ではなくアクティブな半屋外テラスとして居間と繋げ、屋根は透明のポリカーボネート波板、隣地側は半透明のペットボトル再生波板として「ガレージテラス」と名づけた。車を前庭に出しガレージテラスでBBQをすれば人目も気にならないし急な雨でも慌てなくていい。車好きの友人が集まるならガレージの車を見ながらがいいかもしれない。ガレージテラスは生活のシーンによってうまく使い分けてもらえれば嬉しい。
ハイサイドライトから差し込む光
居間は天井高約4m、前面道路側をハイサイドライトとしプライバシーを守りつつ南側採光も取り込んだが、ガレージも天井高は居間に準じ、居間のハイサイドにあたる部分を抜くことでガレージにダイレクトな空と風を取り込み「半屋外」を強調した。
坪庭と隣り合うバスルーム
坪庭は浴室と繋がり、坪庭を眺めながらバスタイムを愉しむことができる。ローコストの手法として基礎=床としているが、コンクリートの床は冬は冷えるので基礎と基礎下の土を温める深夜電力利用の蓄熱床暖房としている。このため浴室・洗面脱衣室も含め家全体が暖かくなる。
広がる暮らしのアイデア
ところでこの家を着工してからご夫婦は諦めていたお子さんを授かった。「2人の家」が急遽「3人の家」となったわけだが、予備に設けたロフトを子供室とするか、あるいは浴室・洗面脱衣室の上に一部屋増築となるか…
いずれにしてもガレージテラスで走り回るお子さんの姿や休日に親子仲良くガレージテラスで朝食をとる光景が今から楽しみでもある。
[Photo : Eiji Tomita]