里山にたたずむ和風モダン平屋住宅
敷地は丹波篠山の美しい田園風景が広がるのどかな里山で、静かな旧街道の一角に位置します。今回はご実家の建替えで、施主からの要望は二世帯住宅。そしてこの美しい里山の風景をいかに自然に取り込み、週末住宅のようなリゾート感を出すことでした。
外観
コの字型に計画された平家の建物は大きな切妻屋根でシンプルに覆い、外観は周囲の街並みから突出することのないよう植栽により埋没するような仕上げとデザインを目指しました。北側と南側に庭を配置し、北側道路からは植栽によるバッファーゾーンを設け建物にアプローチします。
植栽の演出
その一角には鹿児島で買い付けた樹齢120年の蘇鉄が存在感を醸し出し建物とバランスよく共存します。全面芝生が張られた南側の庭は、田園風景、川のせせらぎ、山裾へと視界が変化しパノラミックな景色が展開します。
構成
建物は、大きく分けて三つのゾーンで構成されています。東側の親世帯とゲストルーム、それに続く和風庭園。西側の子世帯とガレージ、水回り。そして建物の中心に位置するリビング、ダイニング、キッチンと中庭からなり、すべての個室から庭を眺めることができます。
リビング・ダイニング空間
建物のメインであるリビング、ダイニングにはタイル張の暖炉があり炎を眺めながらゆったりとした時間を過ごし、イタリアンスタッコの壁や大判タイルの床、木質の天井がリゾート感を演出しています。
風景を取り込む
屋根勾配と連動する高い天井はハイサイドライトから柔らかい光と風が流れ、コの字に囲まれた庭へと繋がる大開口は大きく庇が張り出し優しく光を届けてくれるとともに、美しい里山へと穏やかに視線がつながり四季を通して自然の風景を楽しむことができます。
田舎での伸びやかな暮らし
現在施主は関東に本宅を構えておられ、週末に家族で集まるというスタイルで使用されており、週末住宅としてゆったりとした時間を過ごされています。都会から田舎暮らしへと変化を楽しみながら、家族の大切な時間を過ごす癒しの空間。そんな魅力あふれる場所になったのではないでしょうか。
[Photo : kei Sugino]