恵比寿の自邸+アトリエ
アトリエを兼ねた自宅の計画です。 都心で土地を探していると、間口が狭く奥行きが深い、いわゆる鰻の寝床に出会うことがほとんど。 1年程かけて、数多くの土地を見に行きましたが、ほどんどが間口4m程の周囲を隣地建物に囲われた土地でした。 そんな中、接道長さ11m以上ある土地が出ました。 18坪かつ鋭角な三角形という、難易度の高い土地ですが、道路側には窓が取れ、息苦しさを感じない住宅がつくれるのではないかと考え、取得に踏み切りました。狭小敷地の場合、高さ制限をクリアし、天井裏や小屋裏を計画するなどして、最大限の面積を確保していくのが設計のセオリーです。 土地の形に合わせて、建ぺい率・容積率いっぱいの床面積を確保し、接道する東側に大きな開口部を設け、屋根には巨大なトップライトを設置して光と風を入れる。
光と風を取り込む住まい
「光と風を取り入れ、緑に囲まれながら息苦しさを感じずに暮らしたい」 極めてシンプルですが、これが自分にとっての理想の住まいではないかと、ある時期から考えます。 都心の狭小・変形敷地ですが、どうしてもこの想いを諦められず、さらに半年ほど悩んだ挙句、平面的な広さを捨てました。 具体的には、最大60%の建ぺい率を、30%程度しか使わず、敷地面積の2/3を土として残す計画です。 住み始めるとこの効果は大きく、隣家と適度な距離を取りながら、光と風を取り込む住まいが実現しました。
移ろいを感じる
市街地では、一般的に隣地境界線から50cm外壁を離して建物を計画します。 この建物同士の隙間は、エアコンの室外機を置くか、野良猫の通り道くらいしか使い道がありません。 この住宅の場合、一辺4mの正方形平面を、三角形の長辺に合わせる形で、道路から30度程度振って配置しています。 これにより、小さいながら3箇所の庭が残り、敷地内の使い道のない部分をほぼゼロにすることができ、天候の変化、四季の移ろいを直接に感じられる住まいとなりました。
都心の狭小地で心地よく住まう
平面計画からディテールまで、余計な装飾は一切せずに、植樹した緑が季節ごとに様々な色を見せてくれる、そんな住まいになればよいと考ました。