直交する四角い部屋がない、ななめの空間
都心に近いベッドダウンの核家族(夫婦+子供2人)のための住宅です。
敷地は密集した低層住宅地ならではの、道路斜線や北側斜線制限があり、宅地も台形に変形していたことから、敷地に対して建築の面積・空間を最大限確保できるよう直交する線ではなく、ななめの線を用いて住宅を計画しました。
鋭角や鈍角の線が立体的に交わりながら続く、立方体の部屋がない住宅です。少し歩くと急に空間が広がったり、狭まったりする感覚は、直交する空間にはない、自然や森の中で移動しているような心地よい感覚を得られると考えました。ななめの線が連続する空間の伸縮によって、様々な質を持った場所がグラデ―ショナルに繫がり、ダイニングやリビング、玄関、寝室といった住まいの機能と空間の境界を越えて、新しい住空間の広がりを生み出すことができた住宅です。
対角線で区切った、起伏のあるワンルーム
お施主様からのシンプルで個性的で、眺望を活かした住まいにされたいというご要望に対しまして、台形平面を対角線で区切り、床をスキップフロアにしたワンルームの住宅をご提案しました。
天井高さ3.5mの先がすぼまったモルタル床仕上げの玄関収納スペースや、洞窟のようないびつな形の木製階段、床の隙間から差し込む光、カーペット床に寝転びながら景色を眺められる天井の低い篭ったリビングなど、それぞれ性格の異なる場所が1本の斜めの線でシンプルに区切られ、緩やかに繫がっています。
自由な住まい
お施主様と様々な案のプランを打ち合わせをする中で、3LDKといった間取りにとらわれることなく、”玄関とWICを一体化させて、ブティックのような雰囲気になると驚きがあってよい”、”個室はそれぞれ設けず、家族みんなで寝台列車のような形で寝る最小限のスペースでよい”といったアイデアが生み出され、住宅の慣習的な間取りから自由になることで、今までの住宅にはない開放感や居心地よい居場所をつくることができました。