空間のつながりを意識した再構築
1988年竣工のRC壁式構造のモダンな邸宅を改修しました。
建物については、違法に増築されていた4階部分と1階の一部を撤去し、合法化することで建物のバリューアップをおこなうとともに、躯体の開口部を利用したトップライトの設置、全壁面・天井・床の断熱強化、屋上防水工事のやり替えなど、フルスペックで生まれ変わらせています。
内装も一度スケルトンまで解体した上で再構築。既存のサッシについても、スチール製で腐食がすすんでおり、断熱性能の高いアルミと樹脂のハイブリッドサッシに更新、住み心地とプライバシーの確保を重視しながら、全面ガラスを採用しました。
1階
ウォークインクローゼットを兼ねた土間アトリエは土足で入ることができ、屋内と屋外の中間的な空間です。中庭と連続して使うことができるため、DIYのような外での作業と中での作業を切り替えて使ったりする場合にももってこいです。子供たちが中庭で遊んだ後、エアコンの効いた土間アトリエで涼んで休憩するといった使い方も。汚れを中に持ち入ることを気にしなくて良いので使い勝手が良いでしょう。
2階
2階はLDKとして、1フロア丸ごとの42帖の広さと、2.8mの高天井を最大限生かしました。空間の中央にはパントリーを配置していますが、この部分の壁を低く抑えることで天井を連続させ、ひとつの空間として感じることができるようにデザインしています。また中庭空間についても、キッチンから中庭のテラスにかけて床に同じタイルを連続させて貼ることで、一体的に感じ取れるように。キッチンからすぐ出て行けるため、バーベキューなどの際にとても活躍しているようです。
南側には日本庭園を借景とする大きな窓があり、そこにアルフレックスのERAソファとこだわりのオーディオシステムを置いています。北側は中庭があり、プライバシーの守られた、一日中優しい日差しが入る空間です。この中庭に面したスタディカウンターは、緑を見ながら仕事や勉強ができる場所となっています。
キッチン
キッチンはクライアントこだわりのハンプ社製です。もともと同社製の置き家具をお持ちだったので、キッチンについてもオーダーしました。カウンターはステンレスのホット材(素地仕上げ)、扉やフレームはウォルナットの無垢材のみで構成されています。
3階円形ライブラリー
広い空間のなかにはどうしてもできてしまう「長い廊下」を活用したライブラリーです。一般的には狭くて暗くなりがちな「移動するだけ」の廊下ですが、そこに楽しさをプラスしました。ここで子供たちがゴロゴロと寝転がって本を読んだり、家族でカードゲームをしたりと、設計当初思っていたよりも大活躍しているとのお声をいただいています。
ランドリールーム
共働きのご家庭の場合、近年は屋外で物干しをしないスタイルも増えてきており、こちらでも洗濯物の乾燥は全てランドリールームで行うことになりました。設置したガス乾燥機はパワフルで、40分程度できれいに乾燥できシワもできにくいようです。除湿機も直接排水できるように工夫しているので、わざわざ水を捨てに行かなくて良いようにしています。ランドリールームの隣には戸で隠蔽された洗濯機があります。その横にはファミリークロゼットがあり、家族全員の衣服を収納しています。脱衣室も近いので、洗濯家事導線がとても短くなっています。