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驚きのビフォーアフター。憧れのホテルライクなリノベーション

0LDKの桜庭です。近年、非常に人気のある住宅はエグゼクティブホテルのような空間。ホテルライクと呼ばれ、流麗さであったりラグジュアリーさを備えた住宅空間に憧れる方は少なくないはず。それもそのはず、0LDKで最も閲覧数の多い事例がホテルライクな住宅。その事例を手掛けた建築事務所、トリノス建築計画さんに美しい空間作りについて伺いました。
いわゆる一般的なマンションの一室が、リノベーションによって一流ホテルかのように変貌を遂げます。マンションのリノベーションでここまで変わるのかという驚愕のビフォーアフターをお届けします。

大友氏が考えるホテルライクな住まいとは?

トリノス建築計画 代表 大友 和樹

東京都武蔵野市に事務所を構える建築設計事務所。新築、リノベーションなどの住宅設計や、オフィスや施設などのインテリア設計監理も行う。2009年に設立以来、じっくり丁寧な家づくりを心がけ、美しく、心地良く、機能的な空間を提供し続けています。

桜庭:トリノスさんが手がける住宅は、非常に美しく整えられた、ホテルライクな空間が印象的です。住宅を設計をするにあたり心掛けていることはありますか?

大友:実際に、ホテルライクにしようと思って設計している訳ではありませんが、できるだけ綺麗な空間にしたいなとは常に思っています。一般的には、”ホテルライク=生活感がない”というイメージかと思いますが、あくまでもホテルは非日常の場所であって、住宅は毎日を過ごす場所ですからね。無理に生活感を排除しようとするのではなくて、その人その人の生活感がちゃんと滲み出ていながらもそれをどうバランスよく綺麗に見せるか、というのは大事にしています。

立川のリノベーション
事例提供:トリノス建築計画
大友氏が実際に手がけたリノベーション事例。

例えば、思い描く空間はあっても、いざ設計のプロセスとなると、収納は足りるのか、掃除はしやすいか、といった現実と向き合う機会が当然出てくるじゃないですか。その両面が明確に見えてくると、問題をクリアするために工夫したり、優先順位をつけたり、場所によっては我慢したりしながらも徐々に全体のバランスがとれてくるわけです。
そういうストーリーがちゃんとあると、綺麗なだけで不便というような”嘘っぽい空間”ではなく、見た目を保ちながらもストレスがない、という空間は実現しやすいと思います。

桜庭:「立川のリノベーション」の事例のような美しい住まいが出来上がる過程では、空間を先に決めてから照明計画や家具が決まっていくのでしょうか?もしくは、取り入れたい照明計画や家具を決めてから空間が作られていくのでしょうか?

大友:照明や家具を決めてから全体を考えることはあまりないですね。リノベーションに限って言えば、まずは壁や窓の位置など、変えられない制約の部分を見ます。その上で、この位置に座ると窓から綺麗な景色が見えるからここにソファを置こう、などと家具の配置を考えていくことが多いです。照明計画は、それと同時にイメージしていく作業になりますが、空間を均一に見せるのではなく、強弱をつけるようにしています。

桜庭:強弱をつけるというと、どういうことでしょうか?

大友:例えば、全体を均一に明るくするのではなく、一つの部屋の中でも大事に見せたい部分は強く照らし、周りを少し暗めにすることで強弱が生まれます。それは照明だけでなく壁などの素材選びに対しても同じで、質感にも変化をつけることで、それぞれがより引き立ちます。

桜庭:確かに、少しの明るさや素材の違いで、空間のイメージは大きく変わる印象です。こちらの「立川のリノベーション」の事例ではどういった工夫が施されているのでしょうか?

大友:こちらの事例だと、昼にテラスから自然光が入ってくるリビングやキッチンは、活動的な場所でもあるので夜も比較的明るめにしています。一方で、寝室空間ではそのイメージと一転して照明を少し暗めにして、別世界のような特別感を演出しています。

ウォークインクローゼットへのこだわり

桜庭:こちらの寝室を初めて見た時は大変驚きました。映画の世界みたいで、高級ホテルのような空間です。マンションのリノベーションで、ここまで印象的な空間が実現できることに驚きです。どのようなアイデアで、このような美しい空間が完成したのでしょうか?

大友:この寝室は、特にウォークインクローゼットに様々な工夫を施しました。元々の建物の構造上、空間をあまり広く確保できなかったため、ここに収納部屋を組み込もうとするととても窮屈になってしまいます。そのため、ガラス張りのクローゼットを隣接させ視線の抜けを作ることで、広く感じられるようにしました。ガラス扉はフルオープンにできるので、実際にひとつながりの空間としても使えます。
洋服好きのご夫婦なので、押し入れという概念ではなく、寝室の延長でありインテリアの一部として魅せようと思いました。

桜庭:こだわりの詰まった空間ですね。とても憧れます。

大友:ここは機能面についても綿密に設計しましたが、それこそ映画の中のワンシーンだったり海外旅行で泊まったホテルの話であったり、憧れや思い出のイメージを沢山共有しながら徐々に形作っていった感じです。
中央のテーブルはアクセサリー収納で、洋服を選びながらすぐ引き出せるようにしていたり、実は見えないところから鏡扉が出てきたり、色々と工夫を凝らしました。

桜庭:隠し扉のような構造ですね!

大友:ストーリーがあるからこそ、たくさんの工夫を詰め込んだ上で整った空間にできるのかなと思います。それがオーダーメイドの良いところですよね。
ブランドで選ぶのではなく、こだわりの詰まったオンリーワンです。

さて、今回特別に大友氏からリノベーション前の写真も見せて頂いたので、皆さまにも見せちゃいます!実際にリノベーション前と後を比較してみて、トリノスさんのリノベーションの凄さをご覧ください。

「立川のリノベーション」のビフォーアフター

BEFORE

AFTER

「駒沢のリノベーション」のビフォーアフター

BEFORE

AFTER

ホテルライクな空間を実現させるには?また、その費用感とは?

桜庭:このようなホテルライクな住まいを実際に実現させたい場合に、私たちが知っておくべきことはありますか?

大友:そうですね。まずリノベーションの場合、単純に空間が大きければ選択肢も増えるので、要望は叶えやすいかもしれません。ただ、小さな空間でも工夫次第で見せ方や価値観を大きく変えていくことは十分可能です。

桜庭:この住宅だと理想を叶えるのは難しい!みたいな例はあるのでしょうか?

大友:そもそもリノベーション自体が、制約が多い中でいかに理想を叶えるか、というものなので、普段から難題ばかりですね(笑)
広さや高さといった建物自体のことは変えられませんが、制約の中で何ができるかを考えるのが醍醐味ですので、これは無理!ということは意外とないかもしれません。

桜庭:なるほど。これまでも制限の中で、美しい空間を実現させてきた大友さんの匠の技に、再度感銘を受けております。

大友:ありがとうございます。理想により近づけるという面では、新築の方が制約が少なく幅は広がります。ただ、制約があるからこそ生まれるアイデアもありますし、古さや味わいを生かせるという部分はリノベーションにしかできない特権でもあります。
新しく作ることだけが価値を生むわけではないですからね。

桜庭:費用感についてはいかがでしょうか?

大友:特注で作ることがほとんどなので、建売ですでに出来ているものと比べたら、費用感は多少高まってくるとは思います。例えば室内の扉の一つでも、マンションなどでは既製品を取り付けると思いますが、私たちはほぼ特注で作ります。特注といっても、お金をかけて高級に作るという意味ではなく、そこに合った開け方や色や素材を実現するための手段なので、シンプルに作ればむしろ既製品より安い場合もあります。
先ほど言った「強弱」の話とも通じますが、こだわる部分はこだわり、シンプルに作るところは無理なくシンプルに作る、という方がコストコントロールもしやすく、こだわりもより際立つと思います。

桜庭:建主さまとのコミュニケーションの中でもいろんな発見があったりしそうですよね。

大友:そうですね。建売とは違って実際の空間を見れるわけではなく、まだ存在しないもののイメージを共有しながら進めていかなくてはならないので、コミュニケーションはとても大切です。お話を聞く度に新たな発見がありますね。

大友氏のルーツ

桜庭:大友さんのルーツについて少しお聞かせください。

大友:小さい頃は、特にデザインや建築などに囲まれているという環境ではありませんでした。ただ、昔から学校で使う文房具ひとつとっても、限られた選択肢の中から選ばなくてはいけないことが嫌だった思い出があります。
もう少しこんな色があったらいいのに、とか、なんでこういうデザインなのだろう、などと気に入らない部分が多かったので。。

桜庭:幼少期から常にオリジナリティを追求していたということですか!ものづくりが好きだったのでしょうか?

大友:好きでしたね。何か独創的なものを作りたいというわけでは全然なくて、ただ単に自分が気に入ったものがないから、それなら自分で作れたら楽しいなと思っていました。

桜庭:建築に興味を持つきっかけは何だったのでしょうか?

大友:有名な建築家の作品を見て衝撃を、というのを言いたいのですが実はそうでもなくて(笑)自分で何かを作ってみたい気持ちの延長が、なんとなく建築だった気がします。

桜庭:そうだったのですね!

大友:でも建築について勉強したり、実際に作られていく過程を見るようになると、さらに楽しくてハマっていきました。図面を描いたり地道な作業がほとんどなので、本当に好きじゃないと出来ないですよね。ただかっこいいものを作ればいいというようなものではなく、現実味がないと出来ません。

桜庭:トリノスさんを立ち上げたきっかけというのも教えてください。

大友:将来は自分で独立したいと思っていたので、事務所に所属して経験を積んで29歳の時に独立をしました。

桜庭:大友さんは、どこからインスピレーションを受けているのでしょうか?

大友:建築というのは、当然まず作りたい人がいて、それぞれに背景があります。いきなりデザインやアイデアが思いつくわけではなくて、そういった背景や条件など、いろんな要素が徐々に形になって出来ていくものだと思います。
初めは具体的なイメージがなくても、会話を重ねる中で急に面白い方向性が生まれたりもします。
一つ一つに、出来上がるまでのストーリーがあるので刺激になりますよね。

ユーザーへ一言

桜庭:最後に、ユーザーの皆さまに向けて一言お願いいたします。

大友:ちょっとしたアイデアで家の価値観は大きく変わってきます。今まで特に気に留めていなかった場所も、好きな場所に変わるかもしれない。そういうことができるのが建築の良さですよね。
制約がない環境というものはないので、思い切ってチャレンジしてみようと思えば、新しい発見がきっと出てくると思います。

桜庭:ありがとうございました!

ただ見た目が美しい空間を作り出すのではない。住まいとしての機能が詰まり、要望も叶えられているからこそホテルライクな空間が生まれていくのです。
トリノスさんのビフォーアフターのように、空間の印象というのはガラリと変えることができます。今お住まいの自宅をホテルライクな空間にしてみたい方は、リノベーションを検討してみるのもいいかもしれません。理想を理想でとどめておくのではなく、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか!

トリノス建築計画 新築、リノベーション、オフィス、店舗、インテリアも手がける建築設計事務所。関東地方を中心に全国で対応可能。

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