光と質感にこだわった住宅
敷地は緩やかな丘陵地を開発した閑静な住宅街に位置しています。
以前に私が手掛けたカレイドスコープⅠを気に入った施主からは、モダンで品があり住みやすいプランであること、毎年行われる法要のための和室及び接客のためのスペースを設けることが求められました。
外観
敷地内に高低差があることから、前面道路からみた一層目が実は地下一階にあたります。リビングや寝室は居住性の良い上階、本実型枠打ち放しのコンクリートのボリュームのなかにまとめ、道路面から浮かび上がるようなデザインとしています。コンクリートの塊をくりぬくように、高さの違うテラスや外部の吹き抜け空間を配置。重厚な中にも軽やかさと奥行が生まれます。
エントランス
通りから直接玄関に入るのではなく、少し廻りこむ形のアプローチ。
エントランス内にあるちょっとした接客スペースは通りからの視線が気にならない配置になっています。野面(のずら)積みの庵治石の壁がコンクリートのボリュームを引き締めるアクセントに。
階段エリア
昼間は積層ガラスを通り抜けた光が時間と共に階段スペースに美しい軌跡を描きます。夜間は足元の間接照明が坪庭の壁を照らしだして全く違った印象に。
リビング
リビングは一部吹き抜けとして全面ガラスのダイナミックな空間に。テラスを巡らせ、軒をはり出しているので太陽高度の高い夏の日射をほどよくカットできます。吹き抜け空間は壁面の照明器具で天井や壁を照らし、反射させた柔らかな光で寛ぎの空間を演出しています。
和室
リビングとつなげて大勢の来客に対応できる和室。お祀りする対象ごとに細かな設定を施主からききとり、この配置に。両脇の開口部分は掛け軸などを飾ることができるよう、坊主襖が壁面におさめられており、閉じることで壁面にすることができます。
[Photo : Kei Sugino]