小さな地形の家
敷地は丘陵地にあり、緩い傾斜を有していた。このユニークな特徴を住宅内へと持ち込み、豊かな空間を構成できないかと逡巡した。その結果いくつかの床レベルを内部に与え、同時に視界を開くため、敷地に対し斜めに矩形平面を配置することとした。
敷地の特性を活かす
敷地に対し斜めに矩形平面を配置することで、画一的だった街並みに変化が生まれ、これまでとは異なる通りからの奥行きを生み出すことができ、家の周りには四つの三角形らしき庭が生まれた。
ずれながら繋がる空間
住宅の内部は一番低いところをリビングとし、次にダイニング、その次にキッチン、階段室、和室、玄関というようにそれぞれの空間は全て床がずれながら繋がっている。例えばキッチンはリビングよりも1mも高く位置する為、見晴らしがよく窓の外の遠景まで視線が抜けるようになっている。またそれぞれの場は壁のレイヤーにより明確に分節しながらも、空間の奥行き感を強調した。
階段室とロフト
階段室の窓は空を切り取り、上った先には3.4m程の気積を持つ空間が広がっている。その中に諸室が整然と配されており大きな谷間が生まれた。部屋の上部はロフト的な空間となっており、好みに応じて変貌させる余白を残している。
小さな地形から生まれた住まい
長い谷間のような廊下があったり、ロフトへの階段があったりと、ここでもまた小さな地形の延長として空間が展開する。外形は細長い直方体だが、その内部には敷地の特徴を伸延した小さな地形の空間たちが詰め込まれている。窓は内部に応じながらも通りに対し、愛らしい灯りが洩れるよう意図した。