大きな木を中心に空が開かれた家
「中庭が欲しい」「家の中でピクニック」というクライアントの言葉を手がかりに中庭に植えられる一本の大きい木とそれに寄り添った建築の形や空間の構成が導かれた。敷地は岐阜市中心部から少し離れた畑等が点在する土地であるが、新しい住宅が早いスピードで建ち始めている。
通常、ある程度のまとまりを持った中庭の建築は閉鎖的につくられるが、一定のプライバシーを保ちながら、中庭の存在が公共(街)に対しても少し開放された様な在り方を考えた。
プライバシーの守られた住まい
ハザードマップによる浸水を考慮した上で、内部と中庭のレベルを道路のレベルから1.2m上げ、道路からの視線を柔らかく遮る。道路側の駐車場はできる限り高さを低く抑え、その上を緑化された屋上テラスとした。
大樹が彩りを与える
中庭には大きな樹木(コハウチワカエデ)を植え、中庭に面した3方の屋根をすり鉢状の形態とし、屋根(2階)は外周部のコアから片持ちで張り出した。
樹の形状にそった屋根は大きな空を切り取った様な形になった。街(公)に対しても、住人(私)に対しても切りとられた大きな空は存在し、大きな樹は季節により街にも住人にも彩りを与える。
木の味わい深い空間
中庭と連続する内部空間は、素材により味わい深い趣のある空間に仕上げた。開口を中庭に向け自然光を取り込んでいる。
自然に溶け込むレッドシダーの屋根
屋根にはレッドシダーのデッキ材が張られ、樹木の成長と共に、風化し自然ととけ込んでいく。大きな樹木のある中庭のまわりで、立体的に空間が展開する、住宅全体でピクニックをするような大らかな建築となった。