紫竹の住居
古い街並が残る地域にある昭和初期に建てられた戸建住宅のリノベーション。敷地はうなぎの寝床のような形状をしており、隣の建物もすぐ近くに迫っているため、訪問時には日中でも室内は暗く感じられた。既存の建物は無理な増改築を繰り返しており、本来は必要な柱や壁が取り除かれた箇所も存在した。アトリエ、サニタリー、書斎をそれぞれ構造体のヴォリュームとして挿入。建物を補強すると同時に、緩やかに空間が仕切られるような計画である。
既存との共存
既存の構造体から恣意的にずらしながら新たに挿入した構造体や補強材は白く塗装され、時間的前後関係をつくり出しながらも機能として共存させ、ぶつかり合うことなく自然に解け合うような状態を目指した。緩やかに仕切られた空間の余白が、今後増えていくであろう家具や絵画などの要素によりリビングやアトリエ、書斎の延長として、発見的に使われることを期待している。
アトリエのある住宅
1階アトリエ。アトリエ前面をガラスとして建物内部に路地を取り込む。既存柱には白い柱材を新たに組み合わせて構造補強を施している。
LDK空間
リビング・ダイニング・キッチン。 梁も既存材を補強するかたちで新設され白く塗装している。
書斎見上げ
下屋となっている屋根の素材を反射性の強いものとすることで、リフレクターとして機能し、内部に光を採り込み拡散させて全体の採光を可能にしている。また、時間の経過により光の移り変わりを体験できるように配慮している。
見通しの良い2階
ヴォリュームに開けられた開口や隙間からは全体像が見え隠れし、そのヴォリューム自体も白く塗装しテクスチャーのみを浮き立たせて、空間に奥行と広がりを与えることを狙っている。