「」の住宅
実家であったマンションの一角にクライアント家族が母親と同居することから始まった、二世帯のためのリノベーションの計画です。
メゾネット式の住居を足腰があまり強くない母親のために、元々2階にあった水回りを1階に配置し、母親の行動領域を1階のみで完結するようにし、2階には40代夫婦、3人の小さい子供達、一匹の犬と一匹のネコが暮らすことになっていました。ここでは「夫婦」「子供」や「犬」「猫」といったそれぞれの暮らしを、素材の単純な切り替えで大きく包み込む事で、「夫婦と子供と犬と猫」といった、全てを「」と包括する様に包み込む空間が立ち現れることを目指してデザインしました。
拡がりのあるリビングスペース
既存の壁をすべて取り去り、リビングダイニングを中心とした4LDKとしてレイアウトを再構成。天井高さをとるために天井は一部スケルトンのコンクリート表しとしています。各部屋へは既存のPSを生かした回遊性のある廊下からアクセスできるようにし、ワンルームの様に連続した空間としています。作り付けの家具やキッチンの下は床の素材を切り替えることで、ペットの為の居場所を用意しています。
リビングスペースを包み込む腰壁
2階には小さい3人の子供のほかに犬や猫も一緒に暮らすため、汚れやすい床の端から腰くらいまでの壁をコンポジションタイルでL型に連続的に巻くことで、機能と意匠を兼ね備えたアクセントとしています。
合わせて寝室の扉も上下で木目が切り替わるデザインにしています。
部屋を見渡す長さ4mのアイランドキッチン
業務用の鉄板焼き器も内蔵されている長さ4mのオーダーキッチン。空間に対してかなりのボリュームを占めるため、足元の一部を開けて軽い印象になるように配慮しています。一本脚の柱は荒縄を巻くことで猫の爪とぎとなる様にしています。鉄板焼きは天板と同素材のフタを設け、使わないときは目立たない仕様としています。
バルコニーを転用した書斎
使われていなかった既存のインナーバルコニーを家族用の書斎として転用。元の仕上げのタイルを活かして、シンプルに塗装で仕上げています。床はリビングスペースの腰壁と同じ材を使い一体感を持たせています。
回遊性のある廊下
既存のPSを中心に廊下を回遊性のある廊下とし、リビングから影になる箇所に家具と一体化した洗面台を設けています。
既存階段を利用した玄関+階段室
既存階段は踏面の板を外して研磨、再塗装してそのまま使用。2階とはガラスで仕切られているので住み手の往来を感じることができます。
庭に面した1階にある単身用のシンプルな部屋
一階にある母親の部屋はシンプルな1LDKとして構成。全体を明るく見せるために間接照明をベースにしています。寝室とLDKは太鼓張りの障子戸で間仕切ることで庭側からの採光を寝室でも取りこむことが出来るようになっています。