伊豆の国の家 ~吹き抜けでひとつにつながる住宅~
「ごく普通の夫婦と子供3人が普通に暮らせる家」を望んだ家族のために、居間・食堂・台所・客室・寝室・子供部屋が平面的かつ立体的に繋がり、どこにいても家族が気配を感じながら生活できるようなワンルームに近い家を考えました。広い敷地には、小さな子供達の遊び場となる築山やオブジェが設けられていて、その遊ぶ様子を眺めるための窓が散りばめられています。温暖な地域ではあるものの、エコロジーの観点から断熱性能を高めるために基礎断熱を施し、外壁と屋根の断熱材にはセルロースファイバーを使用し窓は全て木製サッシとしました。
家族をつなぐ吹き抜け
LDK・客室・寝室・子供室が立体的に繋がっています。1階にはLDKと畳敷きの客室があり、客室の引き戸を開けて開放すれば畳敷きのリビングとして使うことができます。また、2階の子供室も引き戸で間仕切られているため、戸を開ければ立体的に繋がるワンルーム空間となり、どこにいても常に家族の気配を感じることができます。
家の中心にある吊り階段
吹き抜けに設けられた階段は緩やかな間仕切りを兼ねた直階段で、安全性と快適性を確保しながら構成部材を細く薄くし、空間の広がりと繋がりに呼応した軽く美しいデザインを目指しました。木材保護塗料が塗られた厚さ30mmの段板が、廊下側は2階の床梁から、吹き抜け側は屋根の梁から吊られた空間の広がりを重視した階段です。廊下側には縦格子があり、階段からの転落を防止するのとともに光を通す緩やかな間仕切りとしてデザインされています。
大きな窓と小さな窓 ~不規則な配置~
2つの大きな窓と不規則に配された小さな窓が外観を特徴づけています。1階の大きな窓からは庭に出られるようになっていて、2階の大きな窓からはベランダへ出られるようになっています。大きな窓は、外壁が欠きこまれたところに設けられ、雨除けと日除けにもなっています。小窓からは外で遊ぶ子供達や日々変化する様々な風景が切り取られるように配置されています。
白い壁と対比する作り付け家具
納戸やウォークインクロゼットに加え、玄関・居間・主寝室・個室の壁面は造作家具となっていて、十分な収納スペースを設けました。室内のほとんどの壁に塗られた白い塗料が塗られているのですが、この壁に対比するように、これら造作家具は葉針葉樹合板に黒い浸透性木材保護塗料が塗られていて、空間に落ち着きを与える役割も担っています。
築山とRTPGL+Ⅱというオブジェ
敷地はとても広く、2台分の駐車スペースの他、小さな子供達が遊べる築山とオブジェがあります。直径8m高さ1.2mの築山は芝生で覆われています。オブジェは、かつてイベントのためにデザインしたRTPGL+という作品をもとに作り直したものです。子供の遊び場になったり、バーベキューなどを楽しんでもらうことを期待して設置しました。
[Photo : 淺川 敏]