水盤に開く癒しの生活
京都郊外の閑静な住宅街にある医院併用住宅の、住宅部分のリノベーションです。小割りになった間取り、隣地を気にするあまりに閉ざされたカーテンによる窮屈さ、家事導線の不便さを解決することが望まれました。
外観
医院のイメージと切り離し医院より目立たなくしながらも改装の価値があるものにすることが課題となりました。道路側の外壁に2枚目の外壁を新設して足元にスリットをつくるように浮かし2枚の外壁に囲まれた細長い中庭に植栽しました。
外壁にはダークな無彩色の石を貼り、箱状のフォルムに質感だけがおとなしくアピールするようにしました。これにより片流れ屋根の形状がシンプルに際立つようになりました。
さらに、玄関位置を変えて駐車場の一部に路地風のアプローチをつくりました。
モザイクタイルを3面に貼り巡らせたトンネルにて狭さがよき演出に変化します。余白になりがちな短い廊下もウォールナットの壁面と間接照明を組み合わせ攻めの演出としています。
リゾートのような空間
庭の塀を高くしプライバシーを確保して水盤をつくり、リビングやダイニングなどのパブリックスペースを外部に開きました。季節や天候やライティングにより、刻一刻と変化するシーンが楽しめます。夜もライトアップされた植栽が水盤に映り込み、視線を遠くに導き内部空間を外部へ広がります。
癒しの演出
吹抜けを中心にリビング、ダイニング、書斎、トレーニングスペース、カフェコーナーを配置。ブラックステンレスやタイルやアカシアなどによる面の造形と、スチールによる線の造形を組み合わせ、コーナーごとに個性づけしながらも、全体の見え方としては各コーナーの主張は抑えられ、穏やかにくつろげる空間として演出しています。
バリの素材
バリ島から取り寄せた質感の強い石により、外部と内部をつなぐことを魅力的に実現できました。素材から受ける好印象をあますことなく活かした計画となったと思います。日常を離れるための華やかなしつらえを日常化した、癒しの住宅です。