奈良阪の家
敷地は道路から下り斜面、奈良盆地を見渡せる眺望が素晴らしいロケーションです。
この家は地下1階地上2階建てであり、地階が鉄筋コンクリート造、地上階が鉄骨造です。地下は夫の趣味である油絵を楽しむ為のスペースと寝室、1階は妻の家事室と寝室、眺望の素晴らしい2階は居間とダイニングキッチン、そして浴室となっています。更に屋上からも眺望が楽しめます。
夫婦はこの家の完成と同時に仕事を引退しました。我々は、この家が彼らの引退後の人生を楽しませる家となるよう願っています。
外観
自然豊かな敷地の上に大胆にそびえ立ち、奈良盆地が一望できます。2階のテラスが外観の裏側と側面を覆い、内部からガラスを通して景色を眺めることができます。
道路側からの外観
道路側、外観正面の白い大きな壁面はプライバシーを考慮した結果ですが、エッジをシャープにしたり、玄関の庇は壁に切れ込みを入れ立ち上げたようにドアの高さと同じ長さにしました。また、閉鎖的になりすぎないように屋根を少し浮かせました。
ミニマルな内観
構造計画も眺望を損なわないよう注意しました。眺望側の柱は75mm角と細くし、眺望と反対側に耐力壁(鉄骨フレーム)を設けました(1階2階ともコーナーに構造の柱がないので木製建具を開けると期待以上の開放感が得られました)。 座って嵐が押し寄せるのを見たり、この素晴らしい空間から雪が降るのを見たりすることを想像してみてください。モノクロのインテリアと最小限の家具は景色を強調するためです。自然が描いた絵のフレームとして明るい白が機能します。
キッチン
片持ちコンクリート打ち放しで作られたカウンタートップはキッチンのハイライトです。
地下室
地下室は露出したコンクリート表面を特徴としています。夏は湿気対策として設けた地下のドライエリアで発生した冷気を2階に送り、屋根直下の暑さを緩和させます。冬は、地下の床レベルが地盤より下がっているため床下に設けたピットに砕石を敷き込み深夜電力で温める蓄熱床暖房を採用しました。斜面下には雨水ピットを設け、家庭菜園で利用されます。
天国への階段
晴れやかな日本の夏や、快晴の日に外の空気を感じながら心地の良い時間を過ごすために、この階段は私たちを屋上テラスに導いてくれます。小さな鉢植えの植物が階段に並んでおり、ミニマムな家に自然のタッチを加えています。デッキの四隅にはタープのポールを立てられる工夫もしており、「グランピングテラス」と言えるかもしれません。夜は若草山の山焼きや、あちらこちらで上げられる花火も楽しめます。
景色と暮らす
気候が良ければ建具を開け放し、夜景を楽しむ時は照明を落として奈良の景色の広がりを感じることができます。自然を身近に感じつつ、ミニマルモダンな日本のデザインを楽しみながら景色と暮らせる住宅です。