敷地15坪で叶えた、3階まで吹き抜けがつながる家
限られた敷地面積にもかかわらず、玄関に広がる開放感と落ち着いてくつろげる生活空間は、15坪の狭小住宅とは思わせない設計に。さらには育児・家事と仕事がスムーズに横断できる暮らし方までをデザインしました。あらゆる空間に、わたしたちならではのアイデアと工夫が施されています。
意匠性とメンテナンス性に優れた塗り壁仕上げの外観
ライトグレーと天然木パネルの組み合わせで、シンプルながらモダンなイメージに仕上がった外観。グレー部分は世界No.1のシェアを誇る「sto」社の塗り壁材を、木部はチャネルオリジナルの「ウィルウォール」を採用。通常、サイディングの外壁などで見られる目地(コーキング)が露出しないよう仕上げているため、見た目にもスッキリとし、メンテナンススパンも伸ばせるというメリットがあります。
1階から3階までつながる吹き抜けの玄関
玄関ドアを開けると、目の前に広がる吹き抜け。1階から3階までひとつながりになった大胆な設計となっています。上部空間に対して大きく広がりをもたせることで、実際の畳数以上の広さを感じさせる効果があります。シューズボックスとカウンターは大工さんの手作りによるもので、底面を浮かせるデザインにすることによって、圧迫感を軽減した軽やかな印象に仕上げています。階段下のデッドスペースを収納として活用するなど、無駄のない空間デザインにこだわりました。
1階に設けたパブリックなLDKスペース
隣家に住んでいるご両親をはじめ、たくさんのゲストを招く機会が多いこともあり、パブリックなスペースとプライベートな空間の明確な切り分けが家づくりにおける重要なテーマのひとつでした。玄関から入ったすぐのエリアは、普段は家族が憩いの時間を過ごすLDK、来客時にはおもてなしできるゲストスペースに早変わり。生活感のあるものはすべて2階以上に集約し、パブリックとプライベートの切り分けをスマートにおこなえる設計になっています。
収納を楽しめるオリジナルテレビボードのあるリビング
リビングに備えたテレビボードは、オープンタイプの収納にすることで見た目の抜け感を大切にしています。壁の幅に合わせた寸法で仕上げているため、統一感も生まれました。こちらもシューズボックスと同様に、床から浮かせたデザインにすることで、開放的に見せる工夫をしています。
天然木の温もりに包まれたキッチンスペース
キッチンエリアは床のオーク材に合わせて、各所を落ち着いた色味で統一。キッチンの引き出しの面材、天井、造作収納棚など細部に渡って、空間に一体感が生まれるように配慮しました。壁には存在感のある大判のタイルを採用し、アクセントをつけました。収納部は扉を設けず、食器などを魅せて楽しむ暮らしをセレクトされました。
仕切りで隠せるワークスペース
テレワークが浸透した現在、欠かすことのできないワークスペース。しっかりと集中できる空間をイメージして設計しました。書類などを収めるための棚を設け、使い勝手にもこだわりました。また、集中力を高めるために壁面にはライトブルーの壁紙でアクセントをつけ、仕事がはかどる仕様に。来客時や使用していない時には、扉を閉めればワークスペースをまるごと隠すことができるため、作業の中断や復帰も簡単です。カウンターの反対側は、子どもの玩具など散らかりやすいアイテムをスマートに収納できる棚になっています。
短い家事動線と計画された収納が魅力のサニタリースペース
何かと人の行き来が多く、混雑しやすい(ストレスになりやすい)サニタリースペースは、家事動線を短くし、空間自体を広くとることで、ストレスを減らす設計に。バルコニーをサニタリーに面して設計することで、洗濯機を回した後すぐに洗濯物を干せるスムーズな動線が魅力です。また、突然の雨にも対応できるよう、室内側には部屋干しができる十分なスペースも確保。梅雨時期にも大活躍のスペースになりそうです。さらに、取り込んだ洗濯物を一時的に掛けておけるハンガースペースや、洗濯物を畳めるカウンター、その下には衣類の収納ケースを備えているため、洗濯物を「洗う」「干す」「畳む」「収納する」という一連の動作を、極めて短い動線で完結できる設計になっています。洗面化粧台は二口の蛇口を設けたファミリーに優しい仕様に。お気に入りのタイルで彩った、オリジナルの洗面スペースが生まれました。毎日使う場所なだけに、明るく爽やかな空間になるようトップライト(天窓)を設け、柔らかい日差しが常に差し込む気持ちの良い空間になるようデザインしています。
「ほどよい籠り感」と「気の利いた収納」が心地よい小上がり和室
4畳半の空間を最大限活用できるようアイデアと工夫を凝らした小上がり和室スペース。廊下から2段上がった設計になっているのは、畳の下を床下収納として活用できるようにするため。限られた空間のなかで家を建てる場合、居住スペースと収納スペースは常に競合関係にあります。どちらかを優先すると、一方を諦めなくてはならない、そんな頭の痛い悩みにわたしたちが出した解決策が、この小上がり和室でした。床(畳)の高さが上がった分、天井を上げ、スッキリとしたダウンライト(照明)を採用することで、圧迫感を軽減しています。また、居住スペースを広く取るため、テレビは壁掛けとし、棚部分もシンプルなデザインになっています。
クローゼットごとにテーマを変えて遊ぶ
普段は閉じられていて中が見えないクローゼット。その中をクロス(壁紙)の色や模様によってテーマを変えて遊んでみるのはいかがでしょうか?「ご主人」「奥様」「男の子」「女の子」「ペット?」など、クローゼットの所有者や収納するアイテムによって、テーマを選んで見るのもおもしろいですね。普段は扉が閉じられていて見えないため、居住空間の邪魔をせず、開ければ個性的なスペースが広がります。クローゼットのデザインは家族だけの秘密、そんな共通の「隠しごと」をシェアするという楽しみ方もいいかもしれません。
いまは広い空間で伸び伸び遊べて、将来は2つに分かれる子ども部屋
3階の子ども部屋は将来2つの個室に分けられるよう、あらかじめドアを2つ設けるなど、中長期に渡る計画を見据えてデザイン。子どもが小さいうちに細かい部屋をたくさんつくってしまうと、結局どこかの部屋は物置(納戸)代わりになってしまうというケースもしばしば。それよりも、大きな空間で伸び伸び遊べる方が、子どもも大人も嬉しいですよね!ということで、当分はこの広い空間を楽しむことにしましょう。