UT-house_モダンを極める木造平屋
周辺環境は、善光寺を望む小高い山の中腹に位置する敷地。
東側に斜面が広がり、長野市の中心を上から眺める最高のロケーションであり、それを取り込むことは、当然の与条件で、自然なことでもあります。 しかし、それをどのように、どの程度、どんな形でということを思考することは 無限の広がりと可能性に満ちています。敷地を湾曲に切り取った壁の上に平たいボリュームを乗せる。 言葉で書くとそれだけの建築です。 そこから先の構築に至っては、素材であったり、構造であったり、建築たりうる物質との戦いがはじまりますが、最も抽象的にこの建築を語れば、まさにそれだけです。
今の時代は、電子化することでイノベーションが各分野で起こっていますが、人間自体が電子化できないように、建築もリアルなオブジェクトから脱れられません。それは建築が人工物である証でもあり、人工物は自然を装うことはできない証でもあります。だからこそ、平たく水平なオブジェクトはある意味で人間的でもあり、周囲の自然に抗う人間の意志そのものだと僕は思います。
抽象化された外観
道路側からは入口も見えないかの様に極度に抽象化された形態の構成です。表層の抽象化はモダニズムの代表的な手法。要素は出来るだけ少なくなるよう、素材は厳選しています。アプローチはコンクリートとコルテン鋼で領域を設定しつつ、形態が重なり合う様が建築の複雑性をそのまま表現しています。
TVを置かないリビングの在り方
かつてはリビングの中央にはTVボードが鎮座している住宅も多いと思いますが、TV離れが叫ばれている昨今、違う形のリビングの提案です。ここでは素晴らしい眺望があります。このスクリーンは幅が約9m。日々移り変わる景色をリアルタイムで視聴できます。さらに夜景が綺麗に見えるように、照明器具を床からの間接照明にしました。天井もフラットで形態的にも美しいです。
水庭や植栽に寄り添うダイニングキッチン
ここで使われているキッチンを含めた家具類は全てフルオーダーの特注品、スイッチも極力既製品を使用せず、オリジナル選定のトグルスイッチを使用。プレートレスでミニマルな納まりにこだわりがつまっています。ダイニングチェアはセブンチェアをコーディネイト。
水周りは全体が水洗いが出来る防水仕様
バスルームと洗面脱衣、洗濯室の機能を一体的に取りまとめることで、水周りのワンルーム化で仕様を統一してローコスト化をしました。仕切りはシャワーカーテンを利用することで、開放すると空間も大きく感じます。テラスに繋がるサッシは木製断熱ドレーキップサッシを採用。ドレーキップ方式は上部を開放しながら防犯性と換気を両立できる優れた機構です。
夜景も美しく
外部空間の水盤にもライン照明を採用。水盤とマッチした優しい光です。休日には友人を招いてテラスでバーベキューを楽しめます。