借景の中に暮らす家
横浜市の高台に建つ木造2階建ての戸建て住宅です。12区画からなる新規分譲地だったため周囲の建物がどのように建ち並ぶかを想定しながら設計をスタートしました。 特に借景側に建つ崖下の建物高さに注意を払い2階にLDKを配置しました。遠景の空だけを切り取るのではなく、窓枠によって切り取られた借景の中に生活の一部を溶け込ませられないかと考えました。
借景との距離を近づける屋外リビング
室内空間から窓越しに眺望を眺めるだけでなく、屋外空間で光や風を肌で感じながら過ごす時間がこの敷地ならではの贅沢な過ごし方ではないかと考えました。そこで窓枠によって切り取った借景の中に暮らしの一部を溶け込ませるための屋外リビングを計画しました。
2つ目のLDKを持つ価値
屋外リビングではサッシ越しでは感じられない気温・音を体験することができ、ダイニングキッチンと並列させることで2つ目のLDKとして利用することができます。現代の高気密高断熱の住宅では良くも悪くも屋内外が分断されますが、このような空間を持つことが住宅の価値を高めるのではないかと考えています。
南北で異なる環境をファサードで表現
北側には既存住宅が道路を挟んで崖上に建っていて、大きな窓から見下ろされる関係にあったため北側の外観には窓を極力設けず壁面にて構成することとしました。面で構成した北側からアプローチすることで、2階へ踏み込んだ際、一気に明転し眼前に飛び込んでくる南側の借景をより開放的に感じる演出にもなったと考えています。北側に配置した階段を上るとトップライトからの柔らかい光が出迎えてくれます。
空間を彩る素材と開口部
各所には滞在時間、方位、用途に合わせて適切な大きさの開口部を配置し、室内のどこにいても光と風が感じられるよう心掛けています。光が当たることで素材感を際立たせ、壁面や床面に表情が生まれます。