隙間の庭の家
都内の繁華街に位置する店舗併用の狭小住宅です。周囲を高い建物に囲まれた閉鎖的な空間であったため、建物の配置を極力敷地の端に寄せ、隣接して立つマンションとの間の隙間空間を最大化し、入口などのアプローチ空間やバルコニーを配置して植栽を点在させることで、隙間空間に縦方向に伸びる庭と呼べる様な空間を作りました。それぞれ窓の前には植栽を設ける事で、室内には常に植物の影が映り込む空間となり、都会の喧騒を少しでも忘れられる空間となることを意図しています。
繁華街に佇む家
人通りの多い立地であることを踏まえて一階を半地下の貸店舗とする計画であったため、建物正面の一階部分はガラス張りとし、二階三階にある住宅の入口は店舗と明確に分けるため建物の脇から入る構成としています。各階の開口部近くに植栽を設け、道路沿いから見ると隣地のマンションの植栽と連続的に見える様に配慮しています。
都市の隙間に
細長く間口の狭い敷地であり、かつ二方向を高い建物に囲まれ空いている隣地も高い建物が建つことが容易に想像できたため、将来の環境が想像しやすい隣地のマンション側に空間を設けたレイアウトとしています。この都市の隙間とも呼べる場所をアプローチ空間およびバルコニー、植栽などを設けた縦方向の庭として利用することで繁華街にありながらも普段の生活から緑に触れられる住宅としています。
高さを活用した生活空間
住宅部分が約50㎡の狭小住宅かつ建物自体も間口が短く奥行きが長い構成のため平面ではなく断面方向への空間活用をしています。リビングとダイニングは分けたいとの要望により、玄関、階段、キッチンを中央に配置する構成としています。そのため閉鎖感をなくすために天井高さを2.8mと高く取ることで壁と天井のあいだに隙間を設け、光や風が抜ける様にしています。
都市に対し緑のフィルターをつくる
隙間側に面した窓には植栽のためのバルコニーを設け、常緑樹であるトネリコを植えています。繁華街の只中にあり周りにはほとんど緑の見えない環境のため、建物から見える外の風景を植栽を通した風景とする事で僅かながらでも自然を感じながら日常を過ごせる様にしています。
コンパクトに納めた水回り+寝室
三階には二つの寝室と水回りを設けています。階段、廊下部分には複数の窓を設け通風や採光が取れる様にし、バルコニーに植えられた樹木越しに光が入る様にしています。