【まるでスパイ映画】世界でも稀有な「隠し扉のデザイナー」にインタビュー
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Oct. 21, 2022
0LDKの桜庭です。みなさん海外のスパイ映画で「隠し扉」を見たことはありませんか?
実はわたくし、隠し扉に憧れていたんです。そこで興味本位で調べてみると、なんと在るじゃないですか!
アメリカはアリゾナ州に、隠し扉を専門に手掛けるスペシャリストを発見!早速取材を申し込むと快諾して頂きました。(頑張って英語でインタビューしました)
そう、今回は世界屈指の隠し扉専門業者である「Creative Home Engineering」代表のスティーヴ氏に種類・費用や過去の事例などについてお話しを伺いました。そしてその隠し扉はなんと日本でも設置が可能だといいます。
隠し扉ってどんな需要がある?実際の顧客やメリットは?
- Creative Home Engineering 代表 Steve Humble(スティーヴ ハンブル)
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アメリカ合衆国のアリゾナ州に本社を構える。2003 年に設立後、一般住宅からエグゼクティブや官僚・国家元首の住宅、さらに世界的な有名な企業のセキュリティ強化まで幅広く活動。「隠し扉」「隠し通路」において世界最高の設計者および製造業者であり、世界中の家庭や企業のためこれまで約 3,000 件もの秘密システムを設置してきた。
桜庭:スティーブさん、隠し扉ってどのような目的で設置することが多いのでしょうか?
スティーヴ:会社の立ち上げ当初、子供用のプレイルームであったり、ジェームズ・ボンドに影響された方たちがクライアントのほとんどでした。しかし時が経つにつれ、テクノロジーの発展と共にセキュリティ強化のために隠し扉を求めるニーズが増えていったのです。高度なセキュリティを求めるユーザーというのは、著名人・政府の役人や富裕層の方達ですね。実際、彼らの日常生活を脅かす者が居るので、防犯目的で隠し扉を導入することが多いと思います。
桜庭:確かに、セレブたちに防犯という視点のニーズは高そうですね。
スティーヴ:人によっては家を数軒所有し、1つの家を半年以上空けることも珍しくありません。ですので、厳重なセキュリティが無いと不安ですよね?そういったクライアントの家では、貴重品を保管する場所として隠し扉を設置しています。実際、その扉は清掃員の方すら見つけることが出来ません。本人以外誰も入ることが出来ないのです。
桜庭:ハウスキーパーや清掃員の方すら見つけられないのって凄いですね!(笑)たしかに、そうでなければ隠し扉の意味はないですよね。ちなみに、一般的な住宅に設置するケースはあるのでしょうか?
スティーヴ:もちろん!一般住宅への導入も日々手掛けていますよ。実は、私たちは世界中にクライアントがいて、その要望も様々だったりします。例えば私の住んでいるアメリカですが、ここは銃の文化が存在しています。特にテキサス州では銃の所有が一般的ということもあって、扉を防弾仕様にすることが多いんです。彼らは銃を安全な方法で保管することを好みますので、多くの人が隠し扉を導入する傾向があります。
桜庭:さすがアメリカ!日本ではほぼ考えられませんね(笑)
スティーヴ:文化の違いが大きいから仕方のない部分だと思います。あと、隠し扉には大きなメリットが存在するんです。日本に住むみなさんも貴重品を金庫で保管する方は多いですよね?よくニュースで強盗が金庫を破ったとか、家の金庫から金品が盗まれたとか放送されるじゃないですか。金庫自体を丸ごと盗まれたりするケースだってよく耳にします。実は防犯として金庫を設置することは決して安全なことでは無いんです。
桜庭:え!?うちの実家にも金庫ありますけど……どういうことでしょう?
スティーヴ:金庫はどれもその見た目に特徴があります。それゆえ、泥棒に見つかりやすくなってしまうのです。彼らにとっては金庫さえ見つかればそれで良いわけで、その金庫がいかに頑丈であろうとも、あらゆる手段を使って奪おうとしてきます。さらに、ほとんどの方は金庫を持つだけで安心してしまうのです。しかしその安心は非常に危険です。
その一方、隠し扉は泥棒たちには見つけることすら出来ないのです。
桜庭:ふむふむ。なるほど。その通りかもしれません。気づくことすら出来ないとは、まさに最強の防犯かもしれませんね。
スティーヴ:そうです。隠し扉は映画の世界のような浪漫もあればセキュリティ面でも優れています。ぜひ一般家庭でも設置をオススメしたいですね!
実際に手がけた扉を紹介
桜庭:スティーブさんの会社HPを見ると、魅力溢れる事例が満載ですよね。思わず片っ端から舐め回すように見入ってしまいました。
スティーヴ:HPに載せているのは、実はほんの一部。これまで世界中で3000以上のユニットを作って納品してきました。それを全てギャラリーに載せることは難しいので、人気の隠し扉をセレクトして定期的に更新しています。
桜庭:スティーブさんの最高傑作というものは在るのでしょうか?
スティーヴ:もちろん在りますよ!ですが、実を言うとHPへの掲載を許可してくれるクライアントは非常に少ないのです。作品の撮影を許可さえしないクライアントも居ます。これは当たり前のことですが、隠し扉ゆえに誰にも知られたくないですからね。
桜庭:なるほど。隠し扉ゆえにそれは仕方ないですね。
スティーヴ:家を建てる業者でさえ、家が完成した後に隠し扉が設置されることを知らないときもあります。私のお気に入りの扉を含め、写真がない作品がたくさんあります。公開できる中では、私の好みは暖炉の扉ですね!
桜庭:おお!これはカッコ良い。。開く暖炉なんて生まれて初めて見ました。普通に暖炉としても使えることができるのでしょうか?
スティーヴ:もちろん、暖炉としての機能も兼ね備えていますよ。ほとんどが石でできているので燃える心配もありません。私は石の素材が好きで、HPには石壁の扉を多めに載せております(笑)
桜庭:確かに石壁が多めですね(笑)石壁は重厚感があって印象的ですよね。私も好きです!
ちなみに、これまで最も多く設置されているのはどの扉なのでしょうか?
スティーヴ:一番受注が多いのは、本棚の隠し扉です!隠し扉の中でもお手頃に設置ができ、一般住宅に取り入れやすいのが人気の理由かと思います。
桜庭:なるほど。確かに、映画とかでよく本棚の隠し扉を見るので馴染み深さがあり、一番人気な理由がわかります。
スティーヴ:本棚の次に、全身鏡の隠し扉の依頼も多くあります。壁に鏡を取り付けて、それが開閉するという作品です。
スティーヴ:私たちは、クライアント一人一人のためにユニークでハイクオリティーな扉を設計してきました。しかし、毎回綿密に設計して構築する分、その研究開発に多くの時間と費用を使い、隠し扉の価格は高くなってしまいます。会社設立から数年間は富裕層しか購入できないことがありました。
ですが近年、事前に設計された隠し扉を注文できるサービスを立ち上げ、約$2000~(約¥250,000~ [*2022年現在])という手頃な価格から買えるようになりました。ちなみに、私たちの商品の中では鏡の扉が一番お手頃です。
桜庭:スティーブさんのおかげで、私たちの生活の中で隠し扉がより身近になってきたと言うことですね!画期的な発明です。
スティーヴ:より多くの人に夢を叶えてもらいたいという思いから、開発にいたりました。もちろん、私はオーダーメイドでユニークな扉をオススメしますが。。私は、皆さまが思い描く理想は何でも実現可能だと思っています。隠し扉を作るのであれば、自分の理想をとことん追求が大事だと思います!
0LDKイチオシの扉
スティーブ氏が手がける扉は、私たちの想像を超えるほどハイクオリティーなものばかり。そこで皆さんに、氏の作品の中で0LDKオススメの扉を紹介したいと思います。
まずはこちらの「ウォールパネルドア」。扉の素材や色が壁と同じであり、そこに扉があるなんて一切気づけません。どの扉よりもシンプル且つ洗練されており、ミニマムなインテリアでも空間の統一感を保ちます。
続いてはこちらの「シアタースクリーンドア」。ホームシアターのスクリーンが扉になっています。私、これに一目惚れしました。ホームシアターだけでも憧れるのに、そのスクリーンが扉になってるなんて夢のようです。
そしてこちらの「シークレットステアケース」。まさに映画の世界を実現した、地下室へと誘なう隠し扉。モーターが組み込まれ、自動で開閉する最新式の扉です。様々な隠し扉の中でも特にハイセキュリティーで、何かあっても地下に隠れていれば絶対安全でしょう!
隠し扉の構造
桜庭:実際に隠し扉はどのような構造になっているのか気になります。例えば、一番人気な本棚の隠し扉の構造を教えていただくことは可能でしょうか?
スティーヴ:企業秘密な部分も多いので全ての構造を教えることはできませんが、公開できる範囲内でお伝えします。本棚は木材で作られているように見えると思いますが、実は全てが木材では作られていません。閉じた時のみ木の素材が見えるようにデザインしているのです。
扉が緩んだり歪んだりしないように、扉の内側には様々な部品を設置したりと専門技術を施しています。
桜庭:一般的な本棚のように、全て木でできていると思っていました!相当な技術無くしては実現できない作品だということですね。
スティーヴ:そうなんです。私たちの作品では、さらに大きな強みがあります。それは、扉に調整機能が付いているということです。他社の製品の多くは、本棚に蝶番を付けるだけとなります。その取り付け方だと最初は問題ないかもしれませんが、何年後かに本の重みや湿度と温度の変化で木材の形が変わり、扉が閉まらなくなったりするのです。
桜庭:なるほど。その場合、修理はできないのでしょうか?
スティーヴ:はい、ほとんどの場合は取り外して新しく付けるしか方法はありません。そうすると余計なコストがかかり、かなりの手間ですよね?
私たちの作品では、木材に変化が起きても長年使用できるように数本のネジで調整可能となっているのです。
桜庭:将来取り壊す心配がないというのは嬉しいですね。僕がマイホームを建てたら、スティーブさんに隠し扉をお願いしようと思います!
スティーヴ:ありがとうございます。私たちの隠し扉は、安心して使用していただけると思います。
オリジナルの隠し扉は、毎回簡単に完成できるものではありません。完成前に何度もテストを行い、時には一度作ったものを壊して作り直したりもします。なので、私たちが作り出すものはクオリティーが高く、安心して使っていただけるということです。
日本でも設置は可能?
桜庭:スティーブさんはアメリカを拠点としておりますが、日本からでも隠し扉の制作依頼は可能なのでしょうか?
スティーブ:もちろん!私たちは世界中にクライアントがいます。実は、アメリカ国内でも海外でも発送方法は同じで、全て箱に入れて発送するのです。世界中のどの建物でも隠し扉は設置できます。
桜庭:設置については、毎回アメリカからエンジニアを派遣しているのでしょうか?それとも、各国にエンジニアが駐在しているのでしょうか?
スティーブ:場合によっては、ここアメリカからエンジニアを送ります。しかし、必ずしもそのように対応するわけではなく、ほとんどの場合それぞれの地域の工務店もしくは扉の専門業者に依頼すれば、取り付けを行なってくれるはずです。
桜庭:そうだったんですね。設置は近所の工務店に依頼するだけなので簡単だと思いますが、扉のサイズとかちゃんと合うか不安なところです。。
スティーブ:大丈夫です、安心してください。流れを説明すると、まずクライアントからメールなどで事前に情報を集めます。空間の大きさや要望、どんな隠し扉を検討しているか聞き出し、私たちがそのヒアリングを元にデザインを提案します。
提案が通ったら、実際にCADを使って細かくデザインし、3Dモデルにしていきます。その際に扉を設置する開口部のサイズ、形状、位置を示す図面などを提供していただく必要があります。
そして、3Dモデルを基に扉の製作が始めていきます。扉の組み立ては全て職人による手作業です。そして組み立てた扉を10年間の使用をシミュレートした装置でテストを行い、完了後厳重に梱包して発送します。
桜庭:確かに、3Dモデルで共有してもらえるのでイメージが湧きやすく、サイズも確認できるので安心できます。
完成までにかなりのコミュニケーションが必要となると思いますが、英語を話せない場合でも大丈夫なのでしょうか?
スティーブ:心配ご無用です。英語が話せなくても日本語でメールを送っていただいて問題ございません!少し英語を話せると助かりますが、私たちはこれまで世界中で色んなクライアントを抱えてきました。コミュケーション面では一切問題ございません。
相談も受け付けておりますので、HPからお問い合わせください。英語表記であることをお詫び申し上げます。。
桜庭:日本語でコミュニケーションが取れるのはありがたいですね。あと気になるのは費用面ですが、日本から依頼すると通常よりも追加で費用が発生するのでしょうか?
スティーブ:それほど多くはかからないかと思います。現在、国際関係の様々な問題で輸送費が跳ね上がっており、日本に送ると大体輸送費で$2,000(約¥250,000)ぐらいですね。以前は$1,200(約¥150,000)ほどでしたが。。また元に戻ることを願っています。
なので私たちに依頼する場合は、扉の価格に$2,000をプラスした価格を想定しておいてください。費用感はそこまで悪くないはずです。
これまでにない、新たな隠し扉への挑戦とは
桜庭:数々の作品を生み出してきたスティーブさんですが、今後新たに挑戦してみたい扉はありますか?
スティーブ:もちろんありますよ。私たちはよく虹彩スキャナーというものを使います。何かをのぞき込むと、スキャナーが眼球を読み取る装置ですね。
桜庭:あっ、それ映画でよく見ます!実際に隠し扉でも使われているのですね。
スティーブ:私が挑戦してみたいのは、望遠鏡に虹彩スキャナーが組み込んだ隠し扉です。望遠鏡をのぞいたら部屋の隠し扉が開く、という構造です。とてもクールじゃないですか?それを実行させてくれるクライアントが中々見つけられないことが問題ですが…。
あわよくば私の自宅に設置しようかと考えています(笑)クライアントの皆さんはそれぞれユニークなアイデアをお持ちなので、もしかしたらそれ以上の作品が完成するかもしれません。
桜庭:スティーブさんが今後生み出していく新しい作品にワクワクが止まりませんね!
最後に、読者に向けて一言お願いいたします!
スティーブ:皆さん、それぞれ理想はあると思います。それを頭の中だけで留めておくのではなく、実現させてください。隠し扉の場合、実現できないものは無いと思っておりますので、私たちと一緒にユニークなものを作り上げましょう!
桜庭:ありがとうございます!
隠し扉に憧れていた私は、スティーブ氏のお話を聞きながら終始テンションが上がりっぱなしでした…。現在日本には隠し扉の専門店はありませんが、Creative Home Engineeringの作品は日本でも設置可能だとわかりました。日本語でも相談できるので、こんな隠し扉欲しい!というご要望をお持ちの方は一度相談するのが良いかもしれません。
新築やリノベーションをお考えの方、よりこだわり抜いた住まいにするために隠し扉を取り入れてみてはいかがでしょうか!
Creative Home Engineeringについて
Creative Home Engineering は、スティーヴ氏によって2003 年に生まれました。
「当時、私はたくさんの友達と一緒に大きな家を借りていて、使っていない部屋がいくつかありました。映画で見たような隠し扉があったら面白いなと思っていたのですが、調べてみたら専門に扱っている会社がどこにもないことに驚きました」とスティーブ氏は言います。
そこから、アリゾナ州にある両親のガレージからオリジナルの隠し扉を作り始め、現在では世界中の人たちに愛される屈指の隠し扉専門企業として成長しました。
「Creative Home Engineering」
住所:1325 North Melba Ct. Gilbert, AZ 85233
電話番号:+1480-899-3477
Email : info@hiddenpassageway.com
Web:https://hiddenpassageway.com/