軒下空間が心地良い住まい
敷地は大阪府堺市、昔ながらの古い町並みと現代的な住宅が混在するエリア。敷地西側には築70年の入母屋屋根の主屋が建っており、その東側の空地に子世帯の住宅を計画しました。
中庭で母屋と繋げる
主屋へ光を導くため、建物間には南北に貫く中庭をつくりました。東西の2つの建物はウッドデッキの渡り廊下を介してお互い行き来できるようになっています。
植栽で演出を
厳密に言うと、この渡り廊下で中庭は南北に分断されますが、それぞれにアオダモやモミジなど季節を感じる樹木を植え、室内から観賞できるようになっています。また、中庭には古くから使っている井戸があり、長らく使っていなかったが新たに井戸浚いをして復活させました。電動と手動のポンプを併用し日々の水やりに利用すると共に、災害時の緊急用に備えています。
豊かな軒下空間
東側の新築建物は、北側道路への圧迫感を緩和するため、そして中庭へ光を導くために、北・西を水下としてガルバリウム鋼板菱葺きの大屋根をかけ、水下側を建物から大きくずらすことで、ゆったりとした軒下空間を確保しました。軒下にはウッドデッキの縁側をつくり、木製建具で内部と繋がる計画としました。
心地良い中間領域としたLDK
内部は、中庭側(西側)にLDKを配置し、東側に水廻りやストックルームなどを集中させています。LDKと縁側が木製建具でつながり、天気の良い日はこれを開放することでLDKが外部化します。LDK全体が広い意味での中間領域となります。
「軒下」・「縁側」・「間戸」という伝統的な日本家屋で使われてきた要素を現代の住宅に復元した形としました。
菱屋根が家族を包み込む
現代的な造り方をした大きな菱屋根がどこか懐かしい印象を与え、家族をやわらかく包み込む。何かと窮屈な今の時代、内部と外部を行き来しながら豊かな生活を送ることができる、そんな住まいとなりました。
[Photo : 笹倉洋平]