山麓の洞門と双庭の間
この住宅は山麓に位置し、雛壇状に形成された古い造成地にある。周囲三方を谷間のように塞がれた厳しい環境をも土地のテロワールとして捉え、建築は葡萄の蔓のように環境に順応しながら生長し、自由を得た。大地から切り離されたスラブを上空に浮かべ,新たな地平をこの土地に与えている。
山麓の洞門
居住空間は「街のテラス」と「森のテラス」の二つの庭に挟まれた構成をしている。一方、スラブ下は大きな洞門のようなトンネルを設け、通りからは敷地の奥まで見通すことができる。蔦で覆われた隣地擁壁は緑の壁として楽しむことができ、その場もまた静かな庭となっている。
美術館を彷彿させる空間
洞門の緩やかな坂道に導かれた玄関の先は薄暗く、天井のスリットからは柔らかに光が落ちている。自然光に絵画が浮かび上がり、美術館のような静かな空間が広がる。かすかな光を頼りに上層へ上ると、これまでの空間の質とは一転し、眩いばかりの光と美しい景色に包まれる。
光と景色による演出
かすかな光を頼りに上層へ上ると、これまでの空間の質とは一転し、眩いばかりの光と美しい景色に包まれる。リビングは山麓を臨む「森のテラス」と連なり、三段上った反対のダイニングも「街のテラス」へと延びている。
山麓での住まいの在り方
LとDKはワンルームでありながらも家具を介し、表裏一体として配されている。ダイニングテーブルを札幌の街並みに連なるかのように外へと貫通させるなど、眺望を含め外部との関係性を重視した山麓ならではの住宅となった。