まちと暮らしをつなぐ住宅
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対象敷地は、地方都市の駅前再開発によって新しく生まれた保留地※であり、商業地域の中にありながら、住宅地として分譲された。そのため、駅から徒歩1分の立地であり、周辺には真新しい幅の広い道路と商業地域特有の大きく区画割りされた未開発の土地が広がっている。
都市と住宅の繋がり
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初めて敷地に立った時、幅員11mの前面道路やその正面に広がる高架上の駅が、おおよそ住宅のスケールとは似つかない印象だった。そこから本計画では、都市における土木的で大きなスケールと住宅における暮らしのスケールの対立をこのまちのコンテクストと捉え、それぞれに対してふさわしい設えにすることで、都市と住宅をつなぐ暮らし方を提案する。
内部にも都市のスケールを取り込む
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道路際は、天井高6m強の吹き抜けと大開口により、住宅内部にまで都市の大きなスケールを取り込む。そこから奥に向かって、階段状に天井高さが低くなることで徐々に包まれるような空間に縮小していき、高さ1.4mのピロティで外部の小さな庭につながる。異なる天井高さを持つ1階の内部空間を柱のないひとつながりの空間にすることで、道路際の大開口から見える高架の風景と奥の低い開口から見える小さな庭の風景が、暮らしの中でシームレスに絶えず変化する。
2階の空間
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階段状に天井高さを変えた1階により、反転的に2階の床がその形状を踏襲している。1階での天井高さの低い包まれた空間から躙口を入るように上階へアクセスする構成で、個室で構成される2階は暗い落ち着いた空間としている。最もプライベートな空間である各寝室には、それぞれ大きな窓が開いており、道路際の内部吹き抜けを介し、高架の駅が正面に見えることで再び都市とつながることができる。
構造設計
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スケールの変化をシームレスに感じられるような無柱空間の1階は、上部からの吊り構造やスケール操作と2階の床設定のためである各段差を用いた木造トラス構造を採用することで、それを実現した。また、道路際の大開口は構造壁としておらず、耐風圧を考慮した90×150mmの木柱をガラスの割に合わせて採用しており、他の構造材料と一線を画すものとした。
「都市」と「住宅」を考えた暮らし
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この住宅では、駅前再開発地区における都市と住宅の異なるスケールをつなげる暮らしを提案した。それぞれに対する設えとシームレスにつながる空間の設計により、住まい手が、立ったり、座ったり、寝転んだりといった些細な暮らしの中での行動で、開放的に都市と繋がったり、包まれた自分たちだけの空間でゆったりと過ごしたりと多様な居場所を発見できる。都市に溶け込むでもなく、抗うでもない暮らし方と風景をつくれたらと考えた。