大山崎の住居
1968年に建築された鉄筋コンクリート造テラスハウスのリノベーションである。
この住宅地は1966年に造成を開始し、10年をかけ連棟のテラスハウスが建ち並んだ。大山崎町の発展に大きな役割を果たしたが、現在では、床面積獲得のための増改築を繰り返し行った建物がいたるところで見受けられる。
この住宅も同様に、追加された居室なのか廊下なのか曖昧な部屋が連続し、囲まれた部屋は採光できず薄暗かった。しかしそれ故に回遊性があり新築住宅にはないプランとなっていた。
既存の造りを活かす
鉄筋コンクリート造の建物は構造となる耐力壁が多く、その壁は簡単に撤去したりすることが困難である。そこで耐力壁は撤去せず、もともとある回遊性を生かす方向、いくつかの目的地をつなぐための動線ではなく、動線そのものが切り分けられない生活の場としてプランを矯正することを試みた。
ひとつに繋がる空間
ひとつながりの空間の中に生活のさまざまな行為が入り混じり、動きまわりながら行為に適した場所を求める。そして逆に場所に行為を促されたりもする。そうした状態をつくり出したかった。
庭を取り込む
十数年放置されていたこの住宅の庭も手入れされることがなく荒れ果てていたが、多くの樹種が植わっており、しっかりと根付いていた。こちらも大きく手を加えるのではなく、剪定という矯正を加えることで素晴らしい庭に生まれ変わった。
採光の行き届いた内部空間
矯正された庭からは光が入り、白く塗装された壁により乱反射し室内に光を取り込む。動線に囲われた暗くなりがちな空間には、階段室と和室の壁面を撤去し、透過する障子により階段吹抜けから採光を確保、内からも外からも採光できる明るい回遊空間が実現した。
[ Photo : 山内紀人 ]