大屋根が重なる家
アトリエ棟と生活棟という二つのボリュームが組み合わさってできた住まいです。
敷地は方向性の異なる区割りと区割りがぶつかり合う場所にあるため、町と接続する要素としてそのぶつかり合いを架構同士の関係として取り入れました。この家は時に建主主宰のアートプログラム「ARTIMEET」のスタジオへと変化する器として考えられています。イベントはその時々で内容や規模が変わり家族との距離も都度変化します。そこで全体を大きく二つに仕分けた上で、その中間的な領域を建具によって3段階くらいに変化させられるよう設計しました。
8畳の比較的閉じたアトリエ、いわゆるお客様を応対する空間。続きの居間部分まで使えば親子向けに10名程度のワークショップができます。親しい友人一家はダイニングまで通してのびのびと。開き度合いの違いはあってもプライベートが守られるよう工夫しました。
重なる2つの大屋根
それぞれに対応する二つの小屋を作り、向きの異なる切妻の屋根架構を重ね合わせるように架ける単純な図式で全体を構成しています。
二つの切妻架構のぶつかるところはオープンな中間領域になっており、家族が集まる場として考えられています。
中心にある造作キッチン
梁の重なり合ったところを家の中心とし、そこにキッチンを配置しています。空間に馴染むようキッチンは木の造作キッチンであり、空間に統一感が生ませています。キッチン背面にカラーウォールを用いて、アクセントも取り入れています。
折り重なる梁、垣間見える裸電球
ダイナミックに折り重なる梁が、空間をデザインし強い印象を与えます。梁の間に見え隠れする照明は裸電球。電源コードで吊らないのがポイントです。
梁の連なりと白い壁の2階
白い壁で、落ち着く空間が広がる2階スペース。ダイナミックな大屋根が下りてくる、屋根裏っぽさのある二階の部屋は、ただ仕切るのでなく「家の中の家」みたいなつくりになっています。囲われてるけど屋根でつながり、少しだけ気配を感じることができます。
[Photo : tololo studio 谷川ヒロシ]