〈空間のズレ〉が生みだす快適な生活
〈クレバス〉とは氷河や雪渓などにできた、深い裂け目のことです。この住宅の〈かたち〉は、四角いボリュームにさまざまな力(条件)を加えていくことによって生まれました。そのなかで空間にはズレが生じ、その境目で断裂します。しかしその〈かたち〉が、楽しく快適で気持ちの良い内部空間をつくりだすと考えました。クレバスから仰いで見える神戸の空や、目の前の公園から差しこんでくるうつくしい緑の光を楽しみながら暮らす家です。
クレバス
クレバスはガラスで包まれた階段ホールになっています。階段を上がる時にはスリット状の〈裂け目〉を通して、目の前にある公園の気持ちよい緑の風景を楽しむことができます。またクレバスを通った光は、1階、さらに地階にまで到達し、家中を明るく照らします。
地下ガレージ
道路から約5m入ったところにシャッターを設けることで、その手前の車路の部分にも来客用の駐車スペースを確保。それにより見た目も掘込み車庫らしさが無くなりました。側面やシャッター上部を緑化することで、山にある洞窟へと入るようなイメージにしています。
書斎+リビングルーム
書斎とリビングをひとつにしました。ソファで公園を眺めながらくつろぐこともできれば、クレバスの下でインターネットや読書を楽しむことができます。ダイニングキッチンとはクレバスによって分かれていますが、視線を遮るものはないので空間としては広々。将来的にリフォームしてもう一部屋確保するという可能性も残しています。
スキップフロア
クレバスを形成するふたつのボリュームは諸条件により、700mmの高低差がついています。見上げたり見下ろしたりする視線や動線の楽しさはスキップフロアならでは。1階と2階が近く感じるのも魅力です。