キッチンを中心とした家族の空間

マンションのリノベーションです。タワーマンションの上層階に位置しており、3mもある天井高をいかすこと、キッチンを中心に広がるLDK、また子供の成長に伴って使い勝手を変えていけること──などを意識して設計しました。
30帖もあるLDKは、キッチンを中心に視線のつながりを保ちながら、様々なシーンに対応できる空間となっています。だだっ広いリビングでただ団欒するのではなく、家族それぞれがしたいことによって居場所を変え、それぞれの時間を過しながら、しかし一緒に集うことのできる家になりました。
石の柱に囲まれた空間

広く天井高のあるLDKには、背が高く大きな3本の柱があったため、そこへ十和田石を貼り、間接照明の役割を果たす〈木の折り紙〉と、収納家具を巻きつけました。この重厚な十和田石の柱によって、天井の高さが強調され、LDKの雰囲気が決定づけられています。
LDKの中心にあるキッチン


もともとリビングから死角となっていたキッチン部分は、贅沢な大容量パントリーに変更し、新たなキッチンをLDKの真ん中にレイアウトしました。ここからは家族のようす──ピアノを弾いたり、ソファでくつろいだり、テレビをみたり、ごろごろリビングの床で子供が遊んでいたり、ダイニングで食事や勉強をしているようす──の全てを見渡すことができます。パントリーはウォークスルーとなっていて、お買い物をして家に帰ってきたらこのパントリーを通り、荷物を収納しがらキッチンへ移動できる、とても合理的な動線となっています。
ファミリーダイニング


コーナー窓に面するファミリーダイニングは、LDKのなかでもとても開放的で気持ちの良い場所です。キッチンの隣にありますから、配膳も楽で、目の離せない子供の食事や勉強もキッチンに立ちながら見てあげることができます。調理中のキッチンは意外と騒々しく声が届きにくいですが、この距離だと会話がしやすくなりそう。すぐ隣に収納家具があるので勉強道具もささっと収納できて便利な場所です。
ダイニングテーブルにはTECTAのM21を選びました。デザインは高名なフランス人建築家のジャン・プルーヴェ。アシンメトリーで独特の形をしています。特徴は、一緒にいるのにプライベートも保たれるという、その天板の絶妙な形状です。どこに座っても全員の顔が見え、自然と目線が交わり会話が弾みます。しかし席が固定されないので、ゆっくりしゃべりたいときは隣に座り、作業をする時は少し離れてナナメに座るなど、気分に合わせて自然に距離を保てるようになっているのです。またその丸いデザインは、空間に優しく柔らかい雰囲気を付加してくれる効果もあります。
ごろごろリビング


子供が小さい間は床遊びができる空間があった方が便利です。大人にとってもエクササイズなどをする場所として活躍しそうですね。大きな円形ラグとやおしゃれなビーズクッションを置いても素敵です。
寝室


フルハイトのコーナーサッシがある贅沢な角部屋が主寝室です。
季節によって変化する山の風景と夕暮れがとても美しい空間です。大雪山のナラ突板で作られた印象的なヘッドボードの裏側にはオープンクロゼットがあり、すぐには洗濯しない衣類やコート、カバンやアクセサリーなどを置くスペースがあり、とても重宝します。オープンなので脱いだ後の湿気も気になりません。