北の風景を望む高台の住宅 / 北窓の家
高台から北方向に街並み・山並みを望む敷地での住宅の設計です。
敷地の持つ圧倒的な特性である、空と山並みへ目線が抜ける北側の景色を得られるよう主要室を配し、その他付帯室を南側に配することとし、設計をスタートしました。直射を得られる明るい「南」にLDKを南面させることは一般に定石ですが、今敷地ではそれ以上に北の景観を活かすことが空間を豊かにすると考えました。
一般的にはネガティブな方位として思われがちな「北」ですが、均一に拡散する天空光は安定して心地よく、直射でないため夏も室内を暑くし過ぎることもありません。
ハードとしては「札幌版次世代住宅」(スタンダードレベル)の認定を受けた、高気密、高断熱の外皮、また、設備設計を行っています。
北国に存する住まいとして、厳しい気候から家族を守るシェルターとしての役割を強く果たしながら、四季を感じるライフスタイルを存分に楽しめる、優しく温かな住空間となることを検討しました。
北の光を中心としたメイン空間
リビング、キッチン、ダイニング、小上がりスペース、中二階のスキップフロアのスタディスペースと、北窓に接させて生活空間を配置することにより移動するたびに圧倒的な景観に触れながら日々を過ごすことができます。
北側全幅にわたる大きな吹き抜けを配し、心地よい拡散光が各階に満遍なく得られるような開口部計画としました。
建物南~北方向には動線を兼ねた風と光の通り道を作り、方位に偏って閉じすぎない抜け感を与えています。
子供が遊び、育つ場所としての住まい
住まいが「子供が遊び、育つ」場所であることを重視されたクライアント様からのご希望からお打ち合わせを重ね、ボルダリングウォール、雲梯、梯子などを各所に設置、スキップフロアの段差をも地形のように子供が全身を使い建物中を使って遊べる空間としました。
雪を避ける大きな屋根のあるポーチ空間
積雪地である札幌では、雪とどう生きるかがいつも住まいのテーマの一つとなります。
この建物では、ポーチに大きな屋根を付けることで、雪を避ける緩衝空間としています。
この場所は薪ストーブの薪置き場になったり、除雪用具置き場になったり、夏は自転車置き場になったりと、多用途を受け入れる利便の良い場所になります。
郵便受・宅配ボックスを建物側に設置しない造りとし、断熱、気密の性能にこだわっています。
[Photo : 酒井 広司(グレイトーンフォトグラフス)]