新しいアイディアが盛り込まれた次世代住宅
産学連携で実現されたエネルギー自立住宅で、ヴェルサイユ(仏)に建てられ、世界各国の建築関係者と現地の方に披露。世界20か国の次世代住宅が比較されたSolar Decathlon2014において、建築デザインやエネルギー効率部門で受賞した住宅。我々は設計監理全般をサポートした縁から、ここに紹介させていただいた。慣習的な工法や材料が採用されがちな日本の住宅産業を前に進めるように、再生エネルギー・新しい工法や材料の利用アイデアが盛り込まれた。現在でも新鮮さを失わない住宅。ここでは仕上やデザイン面に絞ってご紹介。
フレキシブルボードの外壁
フレキシブルボード(繊維強化セメント板)の外壁は稀に日本でも目にする事が出来ますが、ここでは、馬目地で大判のタイルのように施工されている(目地にシーリングが施されていないのは期間限定の住宅であったため)。板を留めるトラスネジも意匠への影響が大きく、1枚1枚丁寧に職人さんによって取付けられた。
内外一体の仕上げ
同一の材料=フレキシブルボードを屋内と屋外に仕上げて、内外の連続性を高めている。コンクリートに感じられるモダンな印象を、木造の仕上として嘘っぽくなく実現できる、本物嗜好のデザイン。
キッチンパネルの壁天井仕上
キッチンパネル=メラミン不燃化粧板は、キッチンコンロ周辺の壁面に、油汚れや臭いの付きにくさから大体1枚だけで使われる手入れが容易な材料。無機質な印象が強いキッチンパネルですが、ここでは壁面全体や天井全体に拡大使用。風景を投影させたり、光を拡散することでモダンで爽やかな印象になっている。30枚あまりの固いキッチンパネルを現場でカット・微調整しながら、施工された。
木製サッシ
アルミ・樹脂サッシに比較して、まだコストが高く、メンテナンスの必要性などから日本では普及が進んでいるとは言いにくい木製サッシですが、風合い・断熱性・アレンジ性などはとても魅力的。ここでは東京本社の木製サッシメーカー、アイランドプロファイルの全面協力で、天井高いっぱい2.6mのベイマツ+塗装の木製サッシが設置されている。
ストレスキンパネル
LVL(単板積層材)材を組み合わせた木の箱のような材料(株式会社キーテック・ストレスキンパネル)によってロングスパン空間を実現させる工法で、日本でも中層大規模木構造の建物には採用されていますが、今回は住宅のリビング約8m×6mをこの工法によって実現。構造設計者によって構造計算をする必要はありますが、在来木造工法の中でも、とにかく広い空間を作りたい場合には有効な工法のひとつ。