INTERIOR

愛され続けるミッドセンチュリーの名作たち。その魅力に迫る

0LDKの桜庭です。数多の名作家具が存在するミッドセンチュリー。詳しく知らない方も、その家具たちをどこかで見たことがあるのではないでしょうか?インテリアショップやカフェをはじめ、アパレルショップ・オフィス・映画やドラマなど、日常で目にする機会も多いと思います。
そこで今回、ミッドセンチュリー家具を専門に扱う日本屈指のインテリアショップ「Mid-Century MODERN(ミッドセンチュリーモダン )」の店長である今村氏に、ミッドセンチュリーの魅力について伺いました。
(氏のミッドセンチュリーに対する情熱と本物の家具に触れ、わたしは今やその魅力にどっぷり浸かってしまいそう。。)

名作揃いのミッドセンチュリー。その魅力とは?

桜庭数々の名作家具を生み出したミッドセンチュリー期ですが、改めてその魅力とは何でしょうか?

今村:先ずミッドセンチュリーについて簡単に説明します。1950年代、戦後の世の中は経済が急激に発展し、様々な新しいものが生まれると共に製造業が飛躍しました。軍事産業によって新素材や技術開発が進み、また家具についてもそれらを活かした製造が行われました。当時、それまで作ることの出来なかった造形物を大量生産できるようになり、”自由な発想”の製品を求める人々で溢れ返りました。

桜庭その時代ならではの背景ですね。

今村:本当に世界中で様々な物が生まれました。シンプルな物もあれば、訳のわからない物まで(笑)

桜庭確かに、我々では理解しがたい物もありますね。

今村:当時の椅子やテーブルといえば木で作られたイメージだと思いますが、技術躍進によってそのような固定概念が無くなりました。たくさんの人々が素材とアイデアを生み出し、様々な製品が一気に出始めた時代、そのムーブメントの代表格がミッドセンチュリーなのです。

桜庭多種多様な製品が、どんどん生まれていったということですか?

今村:それが良さでもあり魅力です。当時の製品を掘り下げて調べれば、自分の好きなものが必ず見つかると言ってもいい程、多種多様あります。簡単に言うと、”浮かれている感じ”があります(笑)。私はそこが好きなのです。

桜庭ミッドセンチュリーには遊び心の多い、ポップなアイテムが多いですよね。

今村:発想が自由でイメージを形にしたいというデザイナーやメーカーがあって、「実際にやっちゃった!」みたいな時代です。今だったら出来ないんだろうな…っていう気はします。そのような物づくりをしていた時期がミッドセンチュリーであり、私は非常に面白いし魅力的だと思っています。
正直、すこし座りにくいなと思う椅子もあるのですが、見た目はとても格好良く、空間に置くと一発でインテリアが決まるものもあります。機能性だけでなく表現面でも豊かであることが素晴らしいと思います。

桜庭個人的に気になっていたのですが、ミッドセンチュリー家具はなぜ名作が多いのでしょうか?

今村:その時代背景もあると思います。しかし、それ以上に生み出された家具の数が非常に多かったとも思います。ただ名作家具だけが作られていた訳ではなく、何千・何万という家具が生み出され消えていき、その中の一握りがいまでも語り続けられる”名作”となっています。

ヴィンテージであるからこその奥深さ

桜庭ミッドセンチュリー家具のヴィンテージの愛好家が多くいると思います。素材であったり、使用感であったり、現在には無いものや表せないものがヴィンテージだと思うのですが、ヴィンテージであるからこその魅力や奥深さというのもあるのでしょうか?

今村:ヴィンテージの良さは人によって感じるポイントが違うと思います。50年経ってるものなので、エイジングで味が出ててかっこいいという人もいたり。50年前の家具は非常に希少なので、希少なものを自分の手元に置きたい、というところに魅力を感じる人もいます。

桜庭人によって感じ方が違うということですね。

今村:時代の背景を知れば、より奥深さというのを感じられる気がします。例えば一つの椅子ができる流れで、どんな人がデザインしたのか、なぜこのデザインが生まれたのか、なぜ今でも残っているのか、どういう人に好まれてどう評価されてきたのか、などを知れば、よりその椅子の良さがわかります。ヴィンテージには、新品には無い”歴史”があります。

桜庭おっしゃる通りだと思います。

今村:1年前にできたものと50年前にできたものを比べると、奥行きが全然違います。そこに魅力を感じる人は、ヴィンテージに対する興味が深まっていくのかなと思います。

桜庭「ミッドセンチュリーモダン」のお客さまは、ミッドセンチュリーに詳しい方や、ヴィンテージ好きの方が多いのですか?

今村:詳しい方は一握りです。ミッドセンチュリー 家具に興味を持ったり、何かを感じ取ってくださる方には、商品の魅力や背景を伝えています。「だからこの家具に魅力を感じたんだ!」とお客さまに思わせられるような、ヒントや答えを与え、納得してもらうのが私たちの役目だと思っています。

これからミッドセンチュリーを知る人へ

桜庭これからミッドセンチュリー 家具を知ったり触れたいという方に向けて、どこから知るべきでしょうか?椅子ならこれ、照明ならこれ、など教わりたいです!

今村:答えはあるかと思いますが、私の理論には無いですね(笑)どこから知ったほうがいいということではなく、入り口は何でもいいんです。ミッドセンチュリーに触れたい調べたいと思う人は、まずミッドセンチュリーの重要なデザイナー達に行き当たるかと思います。

桜庭「イームズ」などになりますか?

今村:そうですね。「イームズ」、「ネルソン」などについて調べたり、雑誌を見て、これいいな!って感じたところからなど……。好きでなければ調べないし、頭に入らないと思うので、いいなって思ったものを突き詰めるのがベストだと思います。「この家具はジョージ・ネルソンがデザインしたんだ」、「彼はハーマンミラーってとこでディレクターしてたんだ」「ハーマンミラーのイームズって雑誌に載ってたな」という流れで、どんどん広がっていくものなので、入り口は本当に自由です。

桜庭なるほど。好奇心が一番ということですね。

今村:ちなみに、ネットで”ミッドセンチュリー家具”って調べると、訳のわからない家具などがたくさん出てくるので気をつけたほうがいいです(笑)

桜庭確か、コピーやリプロダクトがありましたよね。

今村:はい。それらがミッドセンチュリーだと思われてしまうと良くないので、特集されてる雑誌や本など正しいところから入って欲しいですね。

ミッドセンチュリー愛が生むエピソード

桜庭ミッドセンチュリーが好きということで、今まで良かったと思うエピソードはありますか?

今村:「ミッドセンチュリーモダン」という店名からして、ミッドセンチュリーというジャンルを背負い、知識が深い方たちと情報を共有できたり、新しくミッドセンチュリーについて知りたい人に出会えたりします。例えば一般的な家具屋に私がいるとすると、1つのジャンルに特化することはできなかった気がします。

桜庭好きなジャンルで繋がりが増えていくのですね。1つのジャンルに特化しているが故にだと感じます。

今村:ミッドセンチュリーがきっかけで彼女が出来た、というエピソードはありませんが(笑)

桜庭あればお聞きしたかったです(笑)

今村:みなさんがあまり知らないジャンルだからこそ、ミッドセンチュリーを通じての人との出会いを喜べます。ミッドセンチュリーに深く惚れている人は世の中それほど多くはないので、その数少ない中の1人になれている、というのは誇りに思います。

桜庭素晴らしいですね。今村さんご自身が好きな家具などありますか?

今村:私は昔、よく古着屋を回っていました。ある日訪れた古着屋に、イームズの「シェルチェア」が置かれていたのです。古着を見ながら、この椅子かっこいいな!と思い、古着屋のお兄さんに椅子の名前や詳細を聞きました。その時初めてミッドセンチュリー家具に出会いました。そこからミッドセンチュリー家具が置いてあるお店を見て回っている内に、ハリー・ベルトイアの「ダイヤモンドチェア」に出会いまして……。

桜庭名作のダイヤモンドチェアですね。

今村:「この椅子カッコいい!欲しい!」と思い、ずっとダイヤモンドチェアが頭から離れませんでした。当時はちょうど20歳の時で、高すぎて買えませんでした(笑)

桜庭10万円越えでしたよね!

今村:絶対にいつかダイヤモンドチェアを買おうと思ってました。
そこから3年ぐらい経ち、やっとの思いで買うことができました。ダイアモンドチェアが、私が手にした人生初のミッドセンチュリー家具です。

桜庭買えたんですね!

今村:はい。ローンを組んで買いました(笑)

桜庭今も持っているのですか?

今村:もちろんです。約15年ずっと持っています。引っ越しも何度かしましたが、ずっと使い続けています。

桜庭相棒みたいな存在なのでは?

今村:そうですね!私は元々芸人をやっていたのですが、売れなくて全くお金がないのに買ってしまいました(笑)当時パスタにめんつゆだけかけて食べていた時があり、「椅子買わなかったらこのパスタに具も入れれたよな」など考えながら……。しかし、そのダイヤモンドチェアを持ってるという事実が、心を豊かにしてくれました。心が満たされた気分になるとはこういうことなんだな、と大きく感じました。

桜庭今村さんのミッドセンチュリー 愛をとても感じます。

ミッドセンチュリー家具は”一期一会”

桜庭今狙っているミッドセンチュリー家具などありますか?

今村:特定の家具を狙っている、というのはありません。いい商品を見つけたら仕入れます。あったらいいなと思うものは山程ありますが、狙って手に入るものではありませんので、出回ってきたタイミングで仕入れることができます。
人との出会いも一緒ですが、”一期一会”だと思っています。その時のタイミングを逃さないように常にアンテナを張っています。

桜庭やはりヴィンテージものはすぐ手に入るわけではないのですね。人気の商品はどちらになりますか?

今村:人気だと、イームズの「シェルチェア」ですね。棚にも並べています。

棚に並べられたシェルチェア。

桜庭「シェルチェア」なんですね!私個人的に「イームズラウンジチェア」がいつか欲しいなと思っております。

今村:買ってしまいましょう!

桜庭今だと借金してしまいます(笑)私がミッドセンチュリーを知り、ある時イームズラウンジチェアを見つけて、そこから自分のマスト・バイ・リストに入ってます。

今村:イームズのラウンジチェアは、ミッドセンチュリー期のパーソナルチェアの中では最高傑作の一つだと思います。ミッドセンチュリーに触れるとまず憧れるチェアですね。桜庭さん、いいところに目をつけてますね。

桜庭ありがとうございます!

「イームズ」ラウンジチェア&オットマン

今村:余談ですが、イームズは建築もしています。今では建築家が建物を作って、内装は専門の人が施工するのがほとんどです。昔は建築の人が内装、家具のデザインまでしていたのですが今は減っています。

桜庭建築家さんも来店されますか?

今村:建築家さんや内装の専門の方はよく来られます。やはり、建築の勉強をしているとミッドセンチュリーは絶対出てきますね。

桜庭必ず通る道、ということでしょうか?

今村:ミッドセンチュリーは一つのジャンルとして確立されているものなので、必ず通る道なのではないでしょうか。

桜庭先ほど商品との出会いは”一期一会”だとおっしゃっていましたが、どれくらいの頻度で製品が入荷してきますか?

今村:入ってこないときは全く入ってこず、入る時は週2,3回で入ります。アメリカからコンテナで一気に届くときもあります。

桜庭仕入れのために、ミッドセンチュリーモダンさん独自の情報源みたいなのはありますか?

今村:アメリカのディーラーさんに連絡して、製品の状況についてはよく聞きます。都度アンテナを張りながら、今までの人の繋がりも大事にして情報を仕入れています。私たちは買い取りや委託も行なっていますので、国内のコレクターさんなどが、商品を持ってきたりもします。ここはその人達の思いなどを背負い、大切に使ってくれる人に橋渡しをする場所なのです。
ヴィンテージ商品がこれからも残っていくように、大切に使ってくれる人に渡したいです。

桜庭そうやってヴィンテージものが後世に受け継がれていくのですね。ものを大切に使う心を大事にしたいですね。

今村:そうでないと、減っていく一方なので、ヴィンテージを残せるようにしていきたいですね。私たちは商品をメンテナンスして、使える状態にする時もあります。渡した後の修理やメンテナンスも行なっていますので、本当にヴィンテージを継承していくために大事にしています。

ユーザーへのアドバイス

桜庭最後に家を建てたりリノベーションを考える方に対してアドバイスをください!

今村:私としては、ミッドセンチュリー家具やヴィンテージ商品は、購買を押したくないと思っています。商品を購入してもらうために詰め寄っていく店員さんをよく見るのですが、私はお客さまに対してそういったアプローチはしておりません。なぜなら、お客さまが本当に納得していないのに商品を買ってもらいたくないからです。
信用・信頼でお店を開けておりますので、本当に好きで買って欲しいと思います。

桜庭今村さんに同意です。そうでないとヴィンテージの良さが発揮されないと感じます。

今村:みなさん、リノベーションや新築を建てて新しい生活が始まり、家の環境をよりよくしようとするでしょう。そこで、自分の好きなものを置ける場所を最低1つは作って欲しいです。そこを妥協してしまうと、非常にもったいないと感じます。好きなものを惜しまずこだわり続けることで、高い満足感が得られる空間になるのではないでしょうか。

桜庭そこを妥協してしまったら、どこか我慢しなきゃいけない部分が出てきてしまうということですか?

今村:座れる、ご飯を食べられる、寝られる、など別に拘らなくても事は足りると思います。ただ、より豊かな空間にしたいのであれば、”モノ”には拘って欲しいなと思います。
いい服は着る、いいアクセサリーは身につける、という方が多くいますが、それらは年に何回使用しますか?ワンシーズンで使用する回数は限られてくると思います。
それに比べ、ソファや椅子などの家具は毎日使います。5年、10年、もしくはそれ以上、毎日必ず目にするものでもあります。そこにもっとこだわりを持って欲しいと思います。

桜庭その通りだと思います。

今村:家は寝るだけ、という考えの人も見かけますが、もったいないと思います。最近は家で仕事をする人が増え、空間を大事にするという考えが増えました。自分のプライベート空間にこそ、置くものを大事にして生活を豊かにして欲しいなと思います。

桜庭最後にプッシュしたいアイテムなどあればご紹介してください。

今村:全部ですが(笑)
パントンのウォールエレメントはいかがですか?

「パントン」のウォールエレメント

今村:アクセントとして壁につけるだけのものなのですが、空間を格上げしてくれます。「ヴェルナー・パントン」というデザイナーの作品です。パントンは、ぶっ飛んだものをよく作っており魅力的です。

桜庭はじめて知りました!勉強になります。

今村:パントンマニアはかなり多くいます。私も好きです。

今村さんのミッドセンチュリーへの情熱は凄まじく、魅力が大いに伝わってきました。名作はなぜ名作なのでしょう?愛され続ける理由、存在している意味、時代背景などより深く知る事できるところにミッドセンチュリーの良さであります。
次回は、私が実際にミッドセンチュリー家具を購入しようと思います。桜庭は何を買うのでしょうか?お楽しみに!

ショップ詳細

1994年東京都港区南青山の骨董通りに開業。その後2012年6月に代官山へ移転、2017年2月に店舗拡張のため品川港南地区にリニューアルオープンしました。
ヴィンテージの椅子やテーブル、照明、収納家具などの他、ハーマンミラー社やヴィトラ社の正規現行品やショップオリジナルのラグマット、当時の家具と相性の良い時計などの雑貨、テーブルウェアなどを取り扱っています。
中でもミッドセンチュリーのアイコン的アイテムともいえるイームズのシェルチェアは国内屈指の品揃えを誇ります。

Mid-Century MODERN
住所:〒108-0075 東京都港区港南4-2-26
Tel:03-6451-4531
営業時間:11:00 – 20:00
Mail:mail@mid-centurymodern.com

公式サイト・オンラインショップ
https://mid-centurymodern.com/

公式インスタグラム
@midcenturymoderntokyo

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