府中の家 ~光の階段を持つ住宅~
府中の森公園に近い閑静な住宅街にある、建築を学んだ夫婦と子供一人のための住宅です。間口が狭く奥行きがある敷地であるため、いかに光を奥まで導き明るい家にできるかがひとつの鍵となりました。また、建築面積は約40㎡で延床面積は約76㎡と小さな家なのですが、数字以上の広さを感じることができるように工夫しデザインしました。
光が繋ぐワンルーム空間
1階は玄関・リビング・ダイニング・キッチンがワンルームで繋がりLDKは約2.7mの高さがあります。この高い天井に加え、東側の前面道路に面する窓と南側の高い位置にある窓からの光が、FRP製のグレーチングでできた階段や廊下を通して降り注ぎ、とても明るく広い空間になりました。また、吹き抜けと光を通す階段・廊下を介して、LDKと2階にある子供部屋が繋がっていて、立体的なワンルーム空間です。
光で繋げるための階段と廊下
敷地は北東・南西に隣接する住宅に挟まれていて、南東面の前面道路側に大きな開口を設けるために構造は一部鉄骨造としました。この開口に面する階段と廊下をFRP製のグレーチングでつくり光が降り注ぐようにしました。また、東側にあるバルコニーの床もスチール製のグレーチングとすることで一層明るいLDK空間とすることができました。
黒く塗られた斜めの外壁
多くの時間を過ごすことになるリビング・ダイニング・キッチンを1階にして、小さな子供が小さな庭で遊べるようにしました。この庭は将来駐車場にできる最低限の広さとし、庭に面する斜壁が、1階は玄関をつくり、2階の脱衣・浴室に必要な床を確保するための壁となっています。外壁だけでなく内壁や床・天井も黒い仕上げ材料を使用しています。
[Photo : 淺川 敏]