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【災害研究者が語る】東京に住みたくない、その理由とは?

0LDKの桜庭です。先日たまたまTVをつけていたら、自然災害のリスク分散を目的とした、都心外への企業の本社移転が相次いでいるというニュースを目にしました。確かにここ最近頻発している地震や台風、豪雨といった災害を考えると、東京一極集中のリスクもあるよな・・・と思いつつ、住宅メディアの運営として「東京に住むことにおいての災害リスク」についても考えはじめるように。
例えば、近年メディアで騒がれている南海トラフ地震や首都直下地震。それらをなんとなく把握はしているけれど、大多数の方は何の準備もしていないのでは?かくいう私もその中の一人です。
そんなリスクはありつつも、便利な東京に住むメリットは大きいし・・・
そこで、災害リスク評価研究所の代表 松島氏にインタビューを試みました。氏は「東京にはできるだけ住みたくない」と話します。災害リスク予測のプロが語る「東京がヤバい理由」とは。詳しく話を聞いてみました。

災害リスク評価研究所  代表 松島 康生

埼玉県を拠点に活動する防災の専門家。民間企業や一般住宅向けに災害リスクの詳細調査を行う。また、企業や自治会・町内会向けに災害の危険性を事前調査し、防災対策をアドバイスしている。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など、これまで200以上のメディアに紹介されている。

東京の災害リスクをまずは知ろう

東京で大きな災害が起こると大変なことになる、というのはなんとなく想像できるかとは思います。しかし、その恐ろしさについて本当に実感できる人は少ないのではないでしょうか。。まずは災害リスクについて松島さんに詳しく伺ってみましょう。

都心における地震の被害

桜庭:東京に住むヤバい理由について伺わせてください。地震や台風などの被害が全国的に増えている影響で、様々なメディアで「都市の災害リスク」が取り上げられています。特に東京はその筆頭とも言えますが、住むにあたってどういった自然災害を想定しておくべきでしょうか?

松島:はい。私は池袋出身なので東京で暮らした期間は長く、これまで他県も色々見てきました。その中でも、やはり東京は災害リスクが非常に高いです。私はできるだけ住みたくありません(笑)まず、東京に住む上で一番リスクがあるのは不意に発生する地震だと思います。

桜庭:やはり地震ですか。。首都直下型地震についても内閣府防災情報ページで色々載っていますよね。東京で大地震が起こると、一体どのような被害が想定されるのでしょうか?

松島:まず、首都圏は人口や重要施設が多く、各種インフラが充実していますよね。生活するには便利ですが、基盤がしっかり整備されているからこそ、そこに依存しがちです。大地震が起きてそれらが途絶してしまう、、と考えるだけで恐ろしいです。

桜庭:インフラというと、交通、水道、電気、通信など生活の安定を維持するための公共施設のことですよね。災害後、都内の人口だと水や食料の供給が追いついていかないような気がします。電気が止まれば、夏だと熱中症、冬だと寒さに耐えられなくなりそう。。通信も途絶えてるので安否の確認もできませんよね。水が止まるとトイレだって普通にできないんですよね。。

松島:ごもっともです。そして、大地震が起きたら建物が倒壊します。もし倒壊しなくても、ビルやマンションの外壁が落下します。住宅街や商店街だと瓦屋根が崩れたり看板が落ちたり、自動販売機だって転倒したりします。

桜庭:言葉では簡単に聞こえますが、実際に実現してしまったらそれはもう地獄絵図ですよ。。。死者は最大2.3万人、要救助者は最大7.2万人と言われていますよね。

桜庭:あとは窓ガラスなんかも怖いですよね。東京は建物が密集している分そこら中で落下物の危険性があり、外で歩けなくなってしまいそうです。道路にも亀裂が入ったりして車も使えないのではないでしょうか。

松島:そうですね、車だと信号機が倒れて直撃したり、不意に道路が塞がり交通事故を起こす可能性も大きいので運転は危険です。

桜庭:東日本大震災時の都内も、交通網のほとんどがストップしていたと聞いています。たしかに、首都直下型地震となると全ての交通網は使えなくなると考えていた方が良さそうです。

松島:また、木造住宅が密集している下町であれば、火災の危険性が高まります。木造だと火が燃え広がりやすくなるので、大規模な火災が想定されます。東京都では特に荒川区、墨田区、足立区などに木造住宅が密集しており、大規模な火災のリスクが高いというデータがありますよね。

桜庭:関東大震災の時も、火災での被害は相当なものであったらしいですね。二日以上燃え続け、被害者の半数以上は火災によるものだとか。。

松島:さらに、東京には河川が多いので液状化も考えられます。液状化すると水道・電気・ガス・通信など全てのライフラインが途絶えてしまうのです。
渋谷や新宿など、人が密集する場所ではパニックになり人間同士の問題も発生してしまうでしょう。実は、東京都では地盤が緩いところもあり土砂災害も多いのです。八王子市や町田市に土砂災害警戒区域が多いのですが、23区だと板橋区や北区、港区などが該当しています。

桜庭:怖いですね。そう、知り合いが阪神淡路大震災のボランティアで行っていた話を聞いたことがあるのですが、一部の人は暴漢になったり略奪を行う方もいたと聞いてます。たしかにパニックになった人間と、そうした状況に乗じて暴徒化する方も増えるようです。また、都心でも土砂災害は起こるなんて知りませんでした。大地震が起こると一気に2次、3次、4次災害と広がっていくのが恐ろしくてたまりません。

その他災害による被害

松島:大地震だけでなく、台風が発生した場合でも被害は大きいです。東京では河川が多いので、大雨による洪水も大きなリスクであります。建物が密集しているため、暴風での倒壊も起こるでしょう。

桜庭:確かに、数年前台風が直撃したとき、建物が倒壊したり荒川などで洪水が起こっているのを実際に目にしました。松島さん、これだけ被害が想定されていると防ぎようが無いように感じますが。。

松島:はい、防ぎようがありません。しかし、都心にお住まいの方はこれらのケースを頭に入れながら、災害が起きた場合の動きを事前に考えておくことで、自身に起こりうる被害を最小限に抑えることができます。
ちなみに、東京だけでなく神奈川県横浜市までいくと、落橋のリスクが非常に高くなります。東京以上に横浜市は起伏が激しく、古い橋が多数あります。海沿いなので津波、洪水や内部氾濫もあり、冬になれば雪害のリスクもあるのです。さらに富士山が噴火した場合の被害も大きく受けるでしょう。東京だけでなく、神奈川県も災害リスクが高い地域です。

桜庭:神奈川県もリスクは高いのですね。首都直下地震や南海トラフ地震はいつきてもおかしくないと言われていますよね。自分の中で、起こりうる被害についてある程度知っているつもりでしたが、松島さんから改めて被害想定を聞いて、都内で暮らすことの災害リスクについて再認識することができました。

現在都心に住んでいる場合の防災について

桜庭:災害予測のプロである松島さんがそこまでおっしゃるとは・・・正直予想外でした。とはいえ仕事や家庭の都合で東京をすぐには離れられない方や、逆にこれから東京に住むという方も多くいらっしゃいます。東京で生活するにあたって気をつけるべきポイントとしてはどんなものが挙げられますか?

松島:大きく分けると3つあります。まず1つ目は「ハザードマップの確認」です。自分が住んでいるエリアが地震・水害などの発生時に、どんな被害を受けることが予想されるかは、緊急時の対応のためにしっかりと把握しておくべきです。また近くに危険物を扱う工場があるかどうかも確認してください。

桜庭:ただ備蓄を揃えるだけ良いということではないのですね。住んでいる場所のハザードマップを確認し、想定される被害についてしっかりと把握しようと思います。

松島:2つ目は「備蓄の準備」です。特に東京は液状化しやすい地域が多く、ライフラインが断絶する可能性が高いため、水・トイレ・非常食といった備蓄は十分な量を確保する必要があります。ライフラインの復旧には、規模にもよりますが平均して3日間はかかるので、最低限1人3日分の蓄えは必要になります。

桜庭:なるほど、大家族だと備蓄の量が凄まじくなりそうですね。ちなみに、なぜ最低3日分なのでしょうか?

松島:被害の大きさにもよりますが、ライフラインが復旧するのに3日はかかるからです。3日間水も食料も無いと、命を落とす危険性はかなり高まってきます。ご家族の場合はみんなで必要なものを相談しながら、最低3日分の蓄えを準備しましょう。

桜庭:私、完全に準備不足でした。3日分ということは9食分で水は6リットルぐらいですかね。準備し直します。

松島:3つ目は「防災グッズ」です。まず水分や食事以外に絶対に必要なのが、「明かり」「情報」「通信」の3つ。明かりは懐中電灯、情報はポケットラジオ、通信はスマートフォンで賄えます。この3つは必ず確保してください。また日本赤十字社が出している防災グッズは種類も豊富にあり、機能面も高いのでオススメです。

桜庭: わかりやすくご説明ありがとうございます!他に気をつけておくべきポイントなどはありますか?

松島:余裕があれば備蓄と防災の準備に加えて、自分が住んでいる家の構造についても把握しておくのが良いでしょう。耐震・制震・免震性能のチェックや内壁や外壁の素材選び、屋根やシャッターの強化など、防災のためにできることは多くあります。万が一に備えて、保険についても見直しておくのも重要ですね。

都心で家を建てる際の「場所選びのコツ」とは?

桜庭:やはり東京都は災害リスクが非常に高いことが分かりましたが、その中でも比較的リスクが低い地域は存在するのでしょうか?

松島:もし住むとしたら、富裕層やそれに近い層の方々がよくお住まいの高台で地盤がしっかりしているところがオススメです。

桜庭:高台というと具体的にどのあたりでしょうか?

松島:山手と呼ばれる一帯は高台にはありますが、決して地盤が強い訳ではありません。実は東京都内では、土砂崩れが多いのですが、山手エリアはリスクが高いと言えます。東京都23区で地盤がしっかりしている地域で言うと、世田谷区あたり、あと関東大震災でも比較的被害が少なかった新宿周辺でしょうか。

桜庭:高台に位置していると、具体的にどれくらいリスクが変わってくるのでしょうか?被害想定についてもお聞きしたいです。

松島:地震で津波が発生すると、高台であればその被害を避けられる可能性が高くなります。液状化に被害も免れるでしょう。地盤が緩くて低台に位置するほど地震によって液状化は起こりやすいので、地盤の固い高台であればリスクは低くなりますよね。

桜庭:高級住宅街と呼ばれる地域は高台に多いと言うのは、災害リスクが低いのも関係してそうですね。

松島:過去の災害データを紐解くと、代々続いている神社・仏閣の周辺も安全なエリアと言えます。当たり前ですがそういった建物は、被災していないからこそ今も存在しています。当時はパソコンなどありませんから、歴史や文献などを繋いでいくためにも、建造物が破壊されるリスクを避ける必要があった。高台や地盤が安定している土地に建てられていることが多いのも、先人たちの工夫と知恵が生かされているのでは、と思います。東日本大震災の時も、神社・仏閣への被害は非常に少なかったと話題になりましたね。

東京以外の選択肢も視野に

桜庭:テレワークも定着して、東京にこだわる必要もかなり薄れているのでは?と感じています。ただやっぱり首都圏に住むメリットも大きくて・・・悩ましいところですね。例えば、東京に比較的近いエリアで、安全が確保できそうな地域だとどういった場所が候補に上がりますか?

松島:関東で一例を挙げると、埼玉県の浦和市がいいと思います。

桜庭:浦和!都心からかなり近いので災害リスク的にはあまり変わらないように思いますが、どういった理由からですか?

松島:台地状で地盤も良好なので、都心から近い割には安全性が高いと思います。水害のリスクも低く、荒川や利根川が氾濫したとしても影響はほとんどないでしょう。利便性や暮らしやすさを兼ね備えています。

桜庭:都心からかなり近いエリアでも、安全性が高い地域もあるのですね。いきなり遠方へ移住するのもなかなかハードルが高いので、浦和で色々と試してみるのも良さそうです。それでは最後に、ユーザーへ向けてアドバイスをお願いいたします!

松島:どれだけ災害リスクが低い地域に住んでいたとしても、平気だ!と過信していたらそれが一番のリスクとなります。どこにいても災害は起こりうるので、ハザードマップを確認し防災についての意識を上げることが一番の防災となります。

桜庭:ありがとうございました!

神社・仏閣周辺は本当に災害リスクが低いの?

先ほど話に出た”江戸時代から続く神社・仏閣の周辺は災害時の被害が少ない”ことに関して確かめるべく、神社・仏閣について実際に調べてみました。

調査として取り上げたのは東京都足立区南部。地震が発生した場合、火災や建物倒壊のリスクが高く、危険度が非常に高いエリアだと示されています。(参照:東京都都市整備局
また、足立区のハザードマップを見てみると、荒川や隅田川に囲まれている南部は、大雨による洪水のリスクも非常に大きく、浸水する可能性も高いのです。
にもかかわらず、このエリアでは神社・仏閣が多く存在。その中の一つである「千住神社(〒120-0043 東京都足立区千住宮元町24-1)」に伺い、過去の災害による被害などについて調査してきました。

千住神社の創立は、なんと延長四年(九二六年)で約1,000年以上も前に及びます。歴史を調査してみると、1945年4月13日 の空襲で戦災にあい、全ての建物は焼失。そこで一度再建されているそうですが、1923年に起こった関東大震災やそれ以前の災害の影響はほとんど受けていないそうです。空襲は自然災害には含まれませんので、現在も尚建ち続ける千住神社の周辺は災害リスクは低いと言えるのではないでしょうか。

他の神社・仏閣についても調査を続けていると、関東大震災などで被害を受け消失した神社・仏閣は多数ありました。1,000年以上も前に建てられた神社で現存するものは、数百年に一度の確率で発生する大規模な自然災害に遭遇しながらも、その姿をとどめていることになります。
よって、現存する神社・仏閣の周辺では、自然災害時に大きな被害を受ける確率は低いと言えるかもしれません。

結論

東京で大規模な災害が発生すると、非常に不自由な生活を強いられる可能性が高く、命の危険性だってあります。大規模災害が起こる可能性が高いと言われ、目の前のリスクを避けるためにそうした対策と準備は必要不可欠です。都心で家を検討される方は、必ずハザードマップを見て、近隣の神社仏閣をリサーチしてください。また、既に都心に家をお持ちの方は3日分の食料と防災グッズは必須です!
このような災害を想定し、住まいは都心でなくても良いという方も多数いらっしゃるのではないでしょうか?近年リモートワークが定着化すると同時に移住をされる方々も多くなっていると聞きます。リモートワークに力を入れている県や、移住を支援する県も多く、地方に生活基盤を移すという選択肢は良いのかもしれません。
次回、移住を考えている方のために、地方の災害リスクについても調査していきたいと思います。お楽しみに!

災害リスク評価研究所について

災害リスク評価研究所
代表:松島 康生

〒344-0064 埼玉県春日部市南1丁目1-7 ふれあいキューブ5階 B-3
共通電話 050-5318-7233(東京・埼玉オフィス共通IP電話)
共通FAX 048-734-3006
※現在のところ、常駐スタッフがおりませんのでお問い合わせは下記ウェブサイトのフォームからお願いします。
https://saigai-risk.com/

-活動内容
・災害リスクの把握と災害ごとの避難の必要性、安全な避難経路の選定など
・建物の耐震化、防火対策、施設内の設備安全対策
・防災計画・BCP、初動行動体制、連絡・引き渡しマニュアル
・防災教育研修、実践型想定訓練、救命・応急処置講習

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